Efficiencies of small machines: molecular design principle, universal inequalities, and physical laws
小さなマシンの性能をめぐって:分子デザイン、普遍不等式、物理法則

日時

2018年5月11日(金)15:00〜

 

場所

京都大学理学部1号館106号室(BP1)
アクセス 建物配置図(北部構内)【2】の建物

 

講師

佐々 真一氏(理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 教授)

 

言語

英語

 

開催報告

「小さなマシンの性能をめぐって:分子デザイン、普遍不等式、物理法則」という題目で佐々真一さん(京都大学大学院 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻)に講演していただきました。

 

「熱機関を典型例とするマクロ機械」と「細胞内ATP合成酵素の構成要素であるF1モーターを典型例とするミクロ機械」の比較から、マクロ機械の基本概念である仕事と熱をミクロな「ゆらぐ」世界でどのように定式化するべきか、という問いの提示から講演は始まりました。

 

続いて、ゆらぐ系の記述として、単純なLangevin方程式とマルコフジャンプ過程を使って、F1モーターとそのプローブの時間発展の数理記述を紹介しました。また、Langevin方程式による記述での熱力学第二法則を満たすようなゆらぐ熱と仕事、そしてF1モーターのマルコフジャンプ過程の遷移率が熱力学第二法則を満たすための条件を与え、結果としてF1モーターとプローブの全系で成り立つ、熱と仕事の関係式を示しました。次に実験的にプローブから出る熱を測る理論枠組を説明し、それを使って実験(他の実験グループ)から測った結果が、F1モーターから出る熱が0という意外な結果を導いたこと、その結果と整合するF1モーターの具体的な確率過程を構成したという複数のグループとの共同研究の結果を紹介しました。 

 

最後に、最近発見されている、ゆらぐ系で熱力学第二法則を超えて成り立つ種々の普遍不等式を統一的に導出する方法についても解説されました。講演後も、参加者と普遍不等式と生物の進化の関係性について1時間を超える議論が続き、今後の研究交流も期待される有意義なイベントとなりました。

 

(文責: 太田洋輝[原文]、佐々真一[推敲])