目次
開催案内
日時
2020年2月19日(水曜日)午後3時から
場所
理学部6号館401講義室
⇒アクセス 建物配置図(北部構内)【4】の建物
プログラム
15:00~ | ティータイム |
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15:15~ |
『弦の場の理論とその数理』 畑 浩之氏 (理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 教授) 「ひも」がこの世の最も基本的な構成要素であるとする弦理論の一つの記述法として「弦の場の理論」がある。これはひもの形と位置をあらわす弦座標の汎関数である弦場を力学変数とする定式化であり、弦理論的なゲージ対称性を持った ゲージ理論である。ここでは、弦理論、そして、弦の場の理論についての素人向けの(しかし、それなりに数学的な)お話をする。特に、物理屋的な"適当な数学"に基づいた弦の場の理論の数理とその課題を紹介したい。(講演終了後、質疑応答) |
16:40~ |
2019年度MACS成果報告会
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18:00~ |
継続討論会(軽食あります!) |
備考
- 理学部・理学研究科の学生・教職員が対象ですが、京都大学の方ならどなたでも聴講できます。申し込み不要。
- 問い合わせ先:macs * sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
講演動画
『弦の場の理論とその数理』畑 浩之 氏
開催報告
第十一回 MACS コロキウムの講演では、京都大学大学院理学研究科の物理学・宇宙物理学専攻教授である畑浩之氏に、「弦の場の理論とその数理」という題名でご講演いただきました。素粒子を説明する標準模型と、それ以降に続く超ひも理論やひもの場の理論の関連性・問題意識、さらには最新の研究成果に至るまで幅広く紹介していただきました。
講演は大本の動機となる素粒子についての復習で始まり、これらを記述する理論として、相対的場の量子論、およびその一種である標準模型が紹介されます。この標準模型は今までのすべての実験と矛盾しない一方、究極理論を目指す観点からは「20この任意定数が存在する」「一般相対性理論との不整合」という点に問題意識があることが説明されました。そしてこれらを解決する方法の一つとして、超ひも理論が紹介されました。超ひも理論においては任意定数が存在せず、また一般相対性理論とも整合させることができるが、その整合性のために重力子の存在を要請すると、次元に強い制限が課されることなどを概説していただきました。
続いて、超ひも理論の対象として現れる「拡がった物体」である D-brane や、最新の研究成果を含む形でひもの場の理論についてご紹介いただきました。場の理論をひも理論的な設定に拡張する際に、点の概念をどう拡張するか、座標をどう捉えればいいか、要求される対称性はなにかなどの要所を簡潔に議論したあと、一例として Witten の cubic string field theory を概観されました。そして、3次元 Chern—Simons 理論との類似から類推されるある予想について、ご自身の結果も交えてご紹介いただきました。
講演終了後は、超ひも理論における次元についての要請と直感とのズレや、実際の物理現象からどのように一連の理論が正当化されていくのかなど、参加者から多くの質問が寄せられました。
(文責:石塚裕大)