画像
第2回

hata.jpg (180×223)畑浩之 教授

畑:物理学第二教室の畑と申します。物理学第二教室というのは、研究の対象は素粒子と原子核、それから宇宙なんですが、僕の専門は素粒子論という学問です。素粒子論というのは、数学には負けますけど、もっとも皆さんの実生活とは関係のない学問です。この学問の目標は、要するに、この世界の究極理論を作ろうということです。物を細かく細かく見ていったら、究極的にどういう法則に支配されているのか。要は、その法則というか、その方程式さえあれば、すべてを説明できるというようなもの、そんなものがあるかどうかわかりませんけれども、それを探しています。素粒子屋さんには色んな人達がいますが、一番地道なのが実験屋さんが得たデータをもとに、今わかっているよりさらに細かい世界がどうなっているかを考える人達。もう一つは、単に理論は美しくありなさいということだけから、究極理論はどんなものだろうと追求していく方法。僕は、むしろ後者のほうをやっています。高校の物理で勉強する力学は、実は分子・原子以下の細かな世界を記述できない。細かな世界は、理学部では2回生後半くらいから勉強する量子力学というもので記述されます。それで、特に重力を含む量子力学というのを追求すると、究極理論の候補というのはほとんどあまりないんです。いわゆる超弦理論と言われているもの。スーパーストリングと呼ばれているものだけなんです。これは、この世の基本的な単位は、ひもであるという話です。形としては輪ゴムのようなひも。あるいは端があってもいいんですけど、そういうひもが究極的な世の中の構成単位だというわけです。みんなも実はひもでできている。そういう理論が、何十年か前に作られています。だけど問題は、本当にひもから現実世界を再現できるかということなんです。たとえば実験によって、先ほどの電子だとか、あるいは原子核は陽子と中性子からできていて、陽子とか中性子というのは、さらにクォークからできていたりするということがわかっています。それらの質量もわかってるわけですが、そういうのも全部再現できるかどうか。だけど残念ながらというか、我々にとっては幸いにも、まだそういうところまではいっていない。だから、僕が今やっているのは、超弦理論で現実世界をいかに再現するかということです。もうちょっと言うと、超弦理論と言っても、まだ数学的にちゃんと定式化されているわけではなくて、定式化自体も課題であると言えます。まあ、素人さんから見ると数学とあまり見栄えは変わらないかもしれないけど、そういうことを研究しています。

 


<<前ページ   次ページ>>