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第2回

【第2回座談会】~「チョイワル」編~
第2回座談会は、2013年3月8日の20時から行われました。この日のメンバーは、有賀哲也教授(化学教室)、畑浩之教授(物理学第二教室)、平島崇男教授(地質学鉱物学教室)、平野丈夫教授(生物物理学教室)、福田洋一教授(地球物理学教室)です。メンバーが変わると、座談会の雰囲気もぐっと変わります。「優等生的な、良いおじさんのお言葉はやめて」繰り出される数々の本音トークも見どころです。第2回も、どうぞお楽しみください。


 

三輪:最初に、位置順で反時計回りに、自分の仕事についてお話していただいて、それからまた他のことについてお話しいただきたいと思います。

福田:私は、地球物理学教室に所属していまして、専門は測地学という分野です。測地学というのは、ここでは地球物理の中に入るんですが、ヨーロッパなんかに行くと、測地学と地球物理学っていうのは厳格に区別されています。geodesyとgeophysicsというのは違うというようなことです。geodesyそのものは非常に歴史の古い学問で、それこそ紀元前にエラトステネスが地球の半径を測ったとか、そういうあたりから始まっています。昔は地図を作ったりするのに役立つということで、今でも、地球上での位置を測ったり、地図を作ったりというのがメインなんですが、他のいろいろな分野に情報やツールを提供するのでサービスサイエンスという言われ方をしています。実はその地球の形を決めているのは重力で、その等ポテンシャル面の形を、ジオイドっていうんですね。それで、重力を測るとほとんど地球の形がわかる。それから自転ですね。地球の形を決めるのには地球の自転を決めることも必要です。ですから今の測地学というのは、要は地球の形、重力、自転を決める学問であるといえます。ところで、今まではスタティックっていうか、地球の形が変わらないっていうのが測地学だったんですが、今はそれが時間変化するっていうほうが重要なんです。それはなぜかというと、測定精度が非常に上がったためです。ここ20~30年で多分3桁くらい上がっていると思いますが、そうなるとたとえば、地殻変動でここの位置がミリメーターで変わるというような議論ができます。また、固体の地球が潮汐で毎日数十センチ動いているとかいうことが分ります。これはまあ昔から知られてたんですけども、今は、地球の表層の流体の、要は大気や海洋の運動で地球が変形するとか、陸水の動きで地球が変形するとか、重力が変わるとかいうことまで測定でき、これがけっこう面白いターゲットになっています。たとえば、南極の氷が溶けて海水面が上昇したりすると、重力も変わるし、自転も変わるし、変形もする。そういうのが全部測れるようになったんです。私は、測地学の中でも、重力の変化や、重力を測るということをやっています。地球の重力変化を陸上で測ったり、人工衛星で測ったりしています。たとえば、地球の温暖化で南極の氷床が変化するとか、グリーンランドで氷が溶けるとか、そういうのが重力を測ることでちゃんと見えたりします。一番興味持っているのはそういったことです。

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福田 洋一 教授

三輪:はい。どうもありがとうございました。

 


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