研究ユニット

現代社会のニーズとも関わりが深い研究キーワードとして「データ」「計測」「進化」があります。3つの研究ユニットでは、これら研究キーワードをテーマに、理学研究科の5つの専攻を横断した融合研究に取り組みます。

データ理学仮説創出ユニット

データから仮説を創出する、新たな理学の推進拠点。

従来の理学は、実験や観測によって得られたデータから仮説を立て、理論を構築し、そこから演繹した予測を実験や観測で確認するという⼈的サイクルが中心でした。しかし今日、データ解析や機械学習を導入することで、⼤量のデータから⽀配⽅程式や因果推論を構築する手法が模索されています。本ユニットは、そうした新しい研究を推進する新時代の「データ理学仮説創出拠点」です。データから仮説を創出する過程を体系化することで、現在の理学の⼀部を⼤幅に加速させ、ひいては⾃然法則の発⾒⾃体を創発現象として記述する「メタ理学」の構築を視野に入れて研究活動に取り組みます。

具体的な研究内容

さまざまなデータを数理の構造で捉え、その法則を導き出す。

世の中には自然現象から社会・経済活動まであらゆる分野・現象に関するデータが存在しますが、それらは必ずしも数理的に扱いやすい形式を取っているわけではありません。そうしたデータ群に数理的構造を導入することで、現象を数理的に記述したり、機械学習にかけたりすることが可能になります。こうした手法を確立することで、従来は定量的に扱うことが難しかったさまざまな現象の研究と応用を進め、さらにはデータからダイレクトに仮説を創出する新しい理学のあり方を提唱します。

ユニット専任教員

対象を俯瞰的に記述するトポロジー

トポロジー(位相幾何学)は、図形や空間の「形」の大局的な性質を、連続変形に対して不変な特徴として捉える数学分野です。この視点は、複雑なデータの隠れた構造を明らかにするのに役立ちます。現在の深層学習は、データの局所的な特徴を学習するのに優れていますが、全体の構造を俯瞰するのは苦手です。トポロジーはこの課題を補完する可能性を秘めています。私は、トポロジーや幾何学を軸に、数理的な概念を応用することで、これまで定量化が難しかった対象に実体を与え、新しい解析法を生み出す研究に興味を持っています。

鍛冶 静雄 / 京都大学大学院理学研究科 教授

京都大学理学研究科 数学・数理解析専攻 博士課程修了。九州大学マス・フォア・インダストリ研究所 教授を経て現職。専門はトポロジーで、形状解析や医用画像などへの応用に取り組んでいる。

専任教員 個人ホームページ

大学院教育協力教員(令和7年9月現在)

数学・数理解析専攻(数学系) 教授
坂上 貴之

専門は非線形解析(数理流体力学・位相流体力学)です。最近はTopological Flow Data Analysisという方法で複雑現象のダイナミクスデータ科学研究をしています。

数学・数理解析専攻(数学系) 教授
石本 健太

自然界の形・動き・流れの背後にある数理(専門分野:応用数学・流体力学・数理生物学)

数学・数理解析専攻(数学系) 准教授
宮路 智行

専門は応用力学系です。精度保証付き数値計算による計算機援用証明、数値分岐解析およびダイナミクス全構造計算法の応用研究に取り組んでいます。

物理学・宇宙物理学専攻(物理学第一分野)教授
齊藤 圭司

物理学・宇宙物理学専攻(物理学第一分野)准教授
金澤 輝代士

確率過程が関わる広い意味での統計物理学のテーマに関わってきました。経済物理学(financial market microstructure)も研究しています。

物理学・宇宙物理学専攻(物理学第二分野)教授
橋本 幸士

AIと物理学の融合、素粒子論、量子重力理論、弦理論。

物理学・宇宙物理学専攻(物理学第二分野)教授
田中 貴浩

物理学・宇宙物理学専攻(宇宙物理学分野)准教授
野上 大作

専門は恒星物理学です。恒星や降着円盤で起こる様々な現象を多様なデータを使用して研究しています。

地球惑星科学専攻(地球物理学分野) 教授
宮崎 真一

地球惑星科学専攻(地球物理学分野) 准教授
大谷 真紀子

地球惑星科学専攻(地質学鉱物学分野) 教授
成瀬 元

専門は堆積学と地形動力学で、機械学習モデルを利用して地形・地層発達プロセスを逆解析する研究をしています。

化学専攻 教授
松永 茂樹

専門は触媒科学、有機合成化学、医薬化学です。情報科学的手法を取り込んだモノづくりに取り組んでいます。

生物科学専攻(生物物理学系) 教授
高田 彰二