地球と⽣命の共進化研究ユニット

地球と⽣命の共進化研究ユニット

地球環境と生命を一体のシステムと捉え、その未来を考究する。

私たちが暮らす地球と生物圏の遠い未来について考究することは、理学的基礎研究の重要な使命のひとつです。そのためには、生物と環境の複雑な相互作用によって成り立つ生物圏を多階層的に理解することが欠かせません。本ユニットでは、地球環境と生命を一体のシステムと捉える新たな学際分野の創出・発展をめざし、生命科学、地球科学、データ科学に関係する諸分野の専門家が一堂に会して互いの知見を共有しながら研究・教育に取り組みます。

具体的な研究内容

生物事変と環境変動の間のギャップに迫る。

地球上では過去何度も生物相の大きな変化(生物事変)が起こっていますが、それらのなかには地球の表層環境の変動時期と必ずしも一致しないものがあると考えられています。私たちは、現生生物のゲノムの大規模解析や、生理・形態・行動などの表現型データ、化石記録・地質記録などの解析を行い、それらを統合的に解釈することで、こうしたギャップが生じる謎を解明する研究に取り組みます。

未来の生物像と地球環境をシミュレートする。

地球環境の変遷と生物の進化は密接に関係しています。過去の時系列環境情報や遺伝子発現プロファイルを分析することで、現在・未来の生物個体の形質・表現型を推定する試みが行われていますが、私たちはこれをさらに拡張し、生物のゲノム構造・トランスプリプトームの進化と地球環境の変遷をたどることで、未来の生物像や、さらには未来の地球環境を予測シミュレートすることに挑戦します。

ユニット専任教員

ゲノム、トランスクリプトームから紐解く生物と環境の相互作用

生物は常に周辺環境を感知し、生体の活動、形質を適応させています。環境への応答は個体レベルだけでなく、生物史の中でも進化していると考えられます。また、地球史をたどると生物の活動が地球環境に影響も与えてきたと考えられます。近年の大規模遺伝子解析技術の進展は、個別に行っていた遺伝子の発現、機能解析について個体、集団レベルの全体像として一度に捉えることを可能にしました。私は分子生物学、バイオインフォマティクス、計算機科学、数理的解析を融合し、生命と地球環境との相互作用について理解を深めたいと考えています。

黒谷 賢一 / 京都大学大学院理学研究科 准教授

京都大学農学研究科 応用生物科学専攻 博士課程修了。名古屋大学生物機能開発利用研究センター 特任准教授を経て現職。専門は植物生理学、環境応答、ゲノム、トランスクリプトーム。

専任教員 個人ホームページ

大学院教育協力教員(令和7年9月現在)

物理学・宇宙物理学専攻(物理学第一分野) 教授
佐々 真一

生命=地球=進化に対して、数理の言葉を使って、新しい物理の法則を見つけたいです。

物理学・宇宙物理学専攻(宇宙物理学分野・天文台)准教授
浅井 歩

太陽面爆発(フレア)とその地球への影響を探る。

地球惑星科学専攻(地質学鉱物学分野)教授
生形 貴男

古生物の形態の多様性と進化。

生物科学専攻(動物学系)教授
森 哲

ヘビを中心とした爬虫類を対象に様々な行動や生態を研究しています。爬虫類に限らず、動物の行動の機能や進化に興味がある方を歓迎します。

生物科学専攻(動物学系)准教授
中野 隆文

動物の種多様性解明と系統関係推定に取り組んでいます。

生物科学専攻(植物学系)教授
野田口 理孝

植物がいかに精緻に発生成長を制御しているかを知るために、細胞間から個体全身までのシグナル伝達機構と働きに着目して研究しています。

生物科学専攻(植物学系)教授
布施 静香

野生植物の系統と多様化機構の解明に取り組んでいます。