定員
A時間帯32名、B時間帯32名
教室企画概要
高校生向け化学体験教室として下記の4つのコースのうち一つを体験していただきます。
研究内容概要
コース1:シリコン単結晶表面の電子回折実験。(各時間帯8名)
パソコンや携帯電話などに用いられているシリコン(半導体)の結晶構造を、模型や結晶板のへき開を通して理解してもらった後、電子線を使って表面を観察する実験を行います。大気中では表面は酸化されてしまうので、結晶を真空容器の中に入れて、1000℃程度まで加熱することで清浄な表面を作ります。これに電子線を当てると電子は散乱しますが、表面に不純物がなく、原子がきれいな周期性をもつ場合、回折パターンが現れます。時間があれば顕微鏡を使った観察も見学してもらいます。
コース2:化合物の構造変換による物性変化を体験。 (各時間帯8名)
有機化合物は我々の生活基盤をなす重要な物質です。有機化合物はわずかな構造の変化により、色や香りなどその化学物性も劇的に変化します。当研究室の体験学習プログラムでは、分子構造の変化と物性変化に密接な関係があることを実際に体験してもらいます。具体的には、2010年にノーベル化学賞を受賞した「鈴木–宮浦クロスカップリング」反応による蛍光発光分子の合成と、化合物のわずかな官能基変換により香りの変化が体験できる香料化学実験を行います。
コース3:量子力学とコンピュータで電子・分子の振る舞いを調べる。 (各時間帯8名)
分子を構成する電子は強い量子性を持ち、その波動的な振る舞いが分子の振る舞いや化学反応を決めることが知られています。量子力学に基づいてそのような電子の波動的性質を調べる分野を量子化学と呼びますが、この体験教室ではその歴史的流れを概観するとともに、現在行われている研究の例(例えば生物の色覚との関係)などをお話しします。また、実際に簡単な分子をコンピュータ上で作成し、電子の波動的性質を具体的に体験してもらいます
コース4:分子分光体験。 (各時間帯8名)
分子に光をあてて、その散乱や吸収を観測すると、目には見えない分子世界の様子を観ることができます。光を使った測定では、散乱や吸収された光の強度を波長ごとに記録した スペクトルを解読することで分子の特徴を調べます。本体験教室では、分光器を分解したり、実際に分子の吸収スペクトルを測定したりして分子分光を体験してみましょう。最先端の研究に使われているレーザーブースの見学も予定しています。