小林 卓也
ある物事が科学的であるかどうかについては、それが正しくないことを証明する方法があるかないかで判断することがあります。大変有名な例ですが、「全てのカラスは黒い」という仮説は「黒くないカラス」を見つけることができれば、誤っていることを誰の目にも明らかに示すことができます。そのためこの仮説は科学的であるということができます。一方で、「死後の世界がある」というのは、誰にもそれが誤りであることを確認する手段がないので、科学的であるとは言えません。
しかし、実際には実験などで直接的に誤っているかどうかを調べられない科学的な仮説もあります。仮説から実際に調べることのできる予測を導いて、その予測が誤りかどうかを間接的に確認するのです。例えば、「地球は太陽の周りを回っている」という仮説は実験などにより直接確かめるすべはありません。しかしこの仮説からは、火星や金星などの惑星の動きを予測することができ、それは天体観測により確かめることができます。また日食や月食の正確な日時の予測を行うことができ、それもまた検証可能です。そういった予測を調べることで、元の仮説の確からしさを科学的に調べていくことができるのです。