浜 直史
科学者、特に物理学や数学の分野の研究者は、研究で得られた結果を、論文にまとめarXiv.org というウェブサイトにアップロードして発表とすることが多い。
科学の研究者は、自分の研究によって得た結果をまとめて、他の研究者に発表しなければならない。他の研究者からの支持や反論の機会を経てこその研究結果であるからだ。そして、研究内容の発表の形態として多くの場合、論文の形にまとめ投稿する形をとっている。
そしてその論文は、特に物理学や数学分野ではarXiv.org に投稿されるものがほとんどだ。arXiv はほぼ毎日、日本時間の毎朝午前10 時に更新され、前日までに投稿された論文を世界中に公開する。1991 年の設立以降、既に110 万本以上の論文が掲載されている。
arxiv は掲載料も購読料も無料で、また掲載すべきかどうか内容を予め確認する仕組みもないため、研究者は自由に自分の研究結果を世界中の研究者に問うことができ、また世界中の最新の研究結果を自由に得ることができる。
これを玉石混淆と見ることもできるが、研究が高度化するにつれ、それぞれの論文の真価の判断が専門家にも難しくなってきたことも反映している。特に理論分野では、最先端の研究で必要になった計算が、何年も前の無名な論文の中で既になされているのを検索から発見することもしばしばだ。
かつて、論文は雑誌に投稿され、公開前に内容を編集者が確認するため発表まで数か月の時間がかかり、更に、刊行された雑誌を日本と欧米などとでやりとりするのにも時間がかかっていた。便利になったがそれだけ、arxiv によって研究結果の争いは世界規模、日単位のものへと激化したとも言える。