個体~社会の複数レベルからウマの社会性を探る
日時
2021年1月27日 (水) 13:30-14:30
開催方法
Zoom配信
参加を希望される方は https://forms.gle/vaLdfVgu8qiE8HeE9 から登録してください。
講師
リングホーファー 萌奈美 氏
京都大学高等研究院
要旨
ウマは約6000 年前からヒトと密接に関わり、ヒト社会に広く貢献してきた。系統進化的に遠い異種であるヒトとウマが、なぜこのような密接な関係を築くことができるのだろうか?それにはウマ本来の社会性や家畜化の過程が関連すると考えられる。そこで私は、ウマが同種他個体と関わる野生下における行動観察と、ヒトと関わる飼育下における認知実験を組み合わせるユニークな手法を用いて、個体~社会の複数レベルでウマの社会的知性や社会行動を検証してきた。本セミナーでは、これまでの研究から明らかになった、ウマの高い社会性について紹介する。
開催報告
SG6主催外部講師セミナーとしてリングホーファー萌奈美さん(京都大学高等研究院)に「個体~社会の複数レベルからウマの社会性を探る」というタイトルでお話しいただきました。
前半はポルトガルの野生ウマの社会構造について霊長類の群れとの比較を示しながら丁寧に説明していただきました。1頭のオスと複数メスによるハーレム群、複数オスと複数メスからなる群れ、複数オスのみからなるバチェラー群について、群れサイズなどの特徴的性質や、また群れ間の関係性から導き出されるウマの重層社会的性質を報告していただきました。後半は飼育ウマの認知実験から、ウマが他個体の知識の有無を見て自分の行動を変えるという実験結果を報告していただきました。これらの研究で積み上げられた知見から誘導される仮説を検証する実験計画についても触れていただきました。
(文責: 太田洋輝)