血管新生における内皮細胞動態解析

日時

2021年1月20日(水)13:30-14:30

 

開催方法

Zoom配信
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講師

田久保直子 氏
東京大学アイソトープ総合センター 特任助教

 

要旨

創傷治癒や腫瘍形成などにおいて見られる血管新生では、近年、血管内皮細 胞が時空間的に不均一な動態を示しながら、全体として血管樹状構造を形成することが明らかとなった。一方で、不均一な動態を示す内皮細胞集団が精緻に統合された血管樹状構造を形成するメカニズムは未解明である。本セミナーでは、内皮細胞動態の定量解析の結果を紹介すると共に、血管構造形成の数理モデルの研究をレビューする。

 


開催報告

SG6では外部講師の田久保直子さん(東京大学)に、「血管新生における内皮細胞動態解析」というタイトルでセミナーでお話しいただきました。

 

まず血管伸長に関する基礎知識の導入を丁寧にしていただき、ご自身が行ったマウスの大動脈の血管伸長について説明していただきました。血管伸長では、血管の内皮細胞のうちTip細胞が伸長の先端部分を担ってそれにStalk細胞が続くという仮説が信じられてきた時期がありました。シングルセル観測によりTip細胞とStalk細胞は入れ変わること(上の仮説と異なる)が最近の実験で明らかにされ、ご自身の研究ではTip細胞がStalk細胞と入れ替わった後に血管伸長した枝の根本までUターンする現象を発見されました。関連する現象の数理モデルをレビュー後、Uターン現象と数理モデルの関係性について様々な角度から意見交換していただきました。
(文責: 太田洋輝)