理学部カリキュラムポリシー

京都大学理学部の教育の目標は、学生一人一人が自然科学の基礎体系を修得し、個々の知識を総合化して、自ら考え、新しい知を吸収し創造的に展開する姿勢を身につけることにあります。この教育目標を最も適切に実現するため、理学部は、理学科のみの一学科制のもとで「緩やかな専門化」を図るという教育方針を採っています。1、2回生は、一般教育科目並びに理学におけるさまざまな学問分野の専門基礎科目を広く履修し、専門分野を学ぶのに必要な学力を身につけます。学生は、この過程において自己の適性・能力に合致した学問分野を見出すことが求められます。3、4回生は、関連分野を学びつつ、自ら選択した専門分野を重点的に学習します。年次とともに専門性を深化させて、最終的には一つの専門分野において研究活動の一端に触れることが目標となります。これらの教育目標の実現のため、次のような指針でカリキュラムを作成しています。

 
  • 全学共通科目である一般教養科目(人文・社会科学科目、外国語科目、少人数教育科目、その他の科目)を選択し、主に1、2回生において履修する。
  • 「緩やかな専門化」を実現するため、すべての理学分野にとって必要不可欠な科目、および、専門課程のための導入となる科目を1、2回生向けの専門基礎科目として配置している。
  • 2回生終了時に、数理科学系、物理科学系、地球惑星科学系、化学系、生物科学系のいずれかの系への所属(系登録)を決める。3回生時においては、各系における専門の基礎となる講義、演習、実験、実習等を行えるように科目を配置している。また、関連分野の学習に支障がないように配慮している。
  • 4回生は、主に卒業研究(数学講究、課題研究)を行い、研究の最前線に触れる。この卒業研究を通じては、諸課題に対する科学的な解決方法を構想する力や、理学の創造的な発展を目指す姿勢も身につける。卒業研究科目は理学部における唯一の必修科目である。
 

これらのカリキュラムを修学するうえで、個々の学生が自分自身の学問的関心や進路に合わせて履修を進められるよう、コースツリーを用意し、授業科目を体系的な流れとして示しています。また、各科目の学修成果は、定期試験、レポート、セミナー発表、平常点などで評価することとし、具体的な成績評価の方法・観点および達成度はシラバスにおいて科目ごとに明示されています。

 

理学研究科カリキュラムポリシー

理学は自然現象を支配する原理・法則を探究する学問である。本研究科では理学への深く幅広い理解に基づく豊かな創造性と柔軟な思考力と優れた問題解決能力を有する人材の育成をめざしている。京都大学の特徴として、「自由の学風」が挙げられ、学生の自学自習を促すことが提唱されている。理学研究科はこの精神を重視し、大学院生が能動的、積極的に学問に取り組み、自ら問題を発掘してその解決に向け柔軟かつ粘り強く立ち向かう研究者等として成長することを期待している。修士課程では理学研究を遂行するのに必要な基礎知識・研究手法・問題解決能力を身につけ、博士後期課程では自ら課題を設定して研究を企画、遂行して博士学位論文としてまとめあげる能力を身につけることを教育目標としている。

 

修士課程では、大学院生が学部での基礎的科学体系の修得に基づき理学研究に従事するための先端的知識、研究手法、語学力等を身につけ、さらに問題発見・解決能力を大きく伸ばしていくことを目標としている。その実現に向け各専攻は分野の特徴に合わせて、特殊研究を中心に講義、ゼミナール、演習、実験などからなるカリキュラムを用意している。各科目の学修成果は、筆記試験、レポート、ゼミナール発表、平常点、演習・実験成果などで評価する。さらに、広い視野を持つ人材を育てるという観点から、所属する専攻や系分野以外の科目を履修することを奨励している。

 

博士後期課程では、修士課程までに培った能力を土台として、基礎科学の本質的前進に寄与する研究を行うことが求められる。学生自身が企画段階から研究を実施して、成果をまとめて論文発表するまでの一連の作業を遂行することにより、自立した研究者としての第一歩を踏み出すことを期待している。そのため特殊研究とゼミナールを中心に研究指導を行い、その研修の成果を基に、研究指導を受けたことの認定を行う。特殊研究とゼミナールの学修成果は、レポート、ゼミナール発表、平常点、実験・実習成果などで評価する。また博士後期課程においても専門領域に閉じこもらず、幅広い学問的関心を維持することを推奨している。博士後期課程では、研究成果を集大成した博士学位論文の作成と学位取得を大学院生の最終目標に設定している。

 

理学研究科では、学生が自分自身の学問的関心や進路に合わせて履修を進められるようにコースツリーを用意し、授業科目の体系的な流れを示している。