研究成果の概要
萩野浩一 理学研究科教授、前野悦輝 同教授は、原子核の陽子の数に着目した、新しい周期表「ニュークリタッチ」を考案しました。
今回考案した周期表は、中学の教科書にも登場する元素の周期表に似ていますが、元素記号の並び方が異なる「原子核」の周期表です。すい、へー、りー、ベー(水素(H)、へリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be))の順は同じですが、ヘリウムの下には希ガス安定元素のネオン、アルゴンなどではなく、酸素、カルシウムなどが並んでいます。
原子核に含まれる陽子の数が、魔法数(マジック・ナンバー)と呼ばれる2、8、20、28などになるとき原子核が安定になることは良く知られています。しかし、それを周期表の形にした例はこれまでありませんでした。この新しい原子核の周期表で、原子の周期表の希ガス元素に対応する右端の列に並んでいるのは、魔法数原子核の元素なのです。
元素の周期表との比較が容易な原子核の周期表ができたことによって、魔法数を含めて原子核の性質を学ぶ上での新しい指標ができます。今後は大学の教科書などにもこの原子核の周期表が掲載され、教育に活用されることが期待されます。
本研究成果は、2020年4月21日に、国際学術誌「Foundations of Chemistry」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1007/s10698-020-09365-5【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/250720 K. Hagino & Y. Maeno (2020). A nuclear periodic table. Foundations of Chemistry
- 読売新聞(4月23日 29面)、日刊工業新聞(4月23日 28面)、日本経済新聞(5月3日 23面)、および大学ジャーナルオンライン(5月10日)に掲載されました。