元数学・数理解析専攻所属・名誉教授 雪江 明彦
私は2023年3月31日をもって京都京都大学理学研究科を定年退職しました.2012年4月に東北大学から赴任し,11年間にわたり京大の理学研究科数学教室にお世話になりました. 京大での11年間は今思うとあっという間でしたが,それなりに充実した時間を過ごせたことには感謝しています.京大の自由な学風,理学部の「ゆるやかな専門化」というのはとても良い伝統だと思います.近年コンプライアンスとか色々言われていて,学生に対する対応も多くなってきているようにも思いますが,あまり管理しすぎると,京大ではなくなってしまうと思うので,京大の学風は是非継続していっていただきたいと思います.
京大での11年間で私は専攻長を1回,専攻主任を2回努めそれなりに忙しい時期もありましたが,全体的には研究する時間もあり,少しではありますが, 論文も書けました.京大で感じたことですが,数学は理学研究科ではそれなりに敬意を持たれているのではないかと思いました.そのせいか,11年間すぐれた環境の中に身を置けたのは研究にもプラスになったと思います.
さて私は京大を退職して,仙台に引っ越し,仙台の家で家族と一緒に生活 しています.今は庭の木の手入れをしたりしています.13年前に植えたレモンの木が今年初めて花を咲かせ,12月頃に実が収穫できるかもしれません.
数学では,科研費が取れたので,今は東北大で客員研究員として部屋をもらい,また非常勤講師もしながらすごしています.私は13年前くらいに代数学の教科書を出版したのですが,今はそれの英語版を出版しようと思って作業をしています.バージョン0はできて,これから時間をかけて完成させようとしています.その作業が済んだらまた研究を再開しようと思っています.今は会議のない毎日で院生の指導もなく楽といえば楽ですが,数学を止める気はないので,数学は続けていけたらと思います.時間はありますので,本の出版が落ち着いたら,来年くらいに数学に関して youtube を始めるかもしれません.
皆様ご健康で京大からすぐれた研究結果を世界に発信されることを仙台から祈っております.