理学研究科長・理学部長 田中耕一郎
2023年4月に理学研究科長を拝命して2ヶ月が経ちました。前任の國府先生の時に評議員・副研究科長をやっていましたので、大まかな仕事の流れは理解しているつもりでした。しかし、実際に研究科長の仕事を始めると、研究科内、大学内、外部の多岐にわたる仕事が沢山あって、追いまくられている状況だというのが正直なところです。事務の皆さんや副研究科長の皆さんに助けられながら、運営を進めています。
研究科長の就任にあたっては、「理学研究科の構成員の研究・教育の時間を増やす」ことを公約に掲げました。大学法人化以降、研究費の獲得や成果報告に要する時間が非常に多くなったのに加え、教授会など各種委員会の会議時間が大幅に長くなりました。また、新しいシステムが導入されるたびに、本務とは異なる業務の数も増えています。その結果、研究に割ける時間が著しく減少しているのは誰もが認める事実だと思います。最近の大学院生が博士後期課程への進学を躊躇する、アカデミックキャリアパスを簡単に諦めてしまうのは、教員の置かれているこのような現状を見ているからだと思います。我々はもっと研究を楽しんでいる姿を、若い世代の人たちに見せる必要があります。
そのために、理学研究科教授会や専攻長会議における審議事項の見直し、ローカルルールの廃止などの検討を始めました。これにより、より重要なことだけに会議の時間を使うようにしたいと考えています。これから始まるであろう「大学ファンド」を契機とした大学ガバナンスの変化に対しても、「理学研究科の構成員の研究・教育の時間を増やし、独創的な研究成果を生み出すとともに、若い研究者の育成を進める」ことを基軸に様々な案件に対応していきたいと思います。最終的に、誰もが京都大学理学研究科のファカルティメンバーになりたいと思うような、研究・教育環境を実現するのが夢です。色々な課題が山積していますが、皆様のご協力を得ながら、一歩一歩進めて参りたいと考えておりますので、ご協⼒とご⽀援をよろしくお願い申し上げます。
令和5年5月24日