化学専攻 依光英樹教授が、第16回(令和元年度)日本学士院学術奨励賞を受賞しました。

 

日本学士院学術奨励賞は、優れた研究成果をあげ、今後の活躍が特に期待される若手研究者に対して授与されるもので、日本学術振興会賞を受賞した研究者の中から6名以内が選ばれるものです。

 

受賞の対象となった研究課題:

「非芳香族化を活用した新規有機合成反応の創出」
(Development of Novel Synthetic Organic Reactions Based on the Breaking of Aromaticity)

 

授賞理由:

新規有機合成反応の開発において、縦横に有機金属化合物、遷移金属触媒、高反応性化学種を駆使し、様々な業績を上げてきました。

その研究姿勢は一貫して新概念、新潮流の創出への意欲が横溢しています。

特に最近の芳香環メタモルフォシスの研究は、あたかもコロンブスの卵のように“本来優れた安定性に特徴づけられる芳香環を切断し、別の環骨格へ作り変える”という概念的転換に基づくものです。また、芳香族性の喪失を含む過程を巧みに利用し、従来の遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応などとは根本原理を異にする芳香環連結法を開発した点も、概念の革新性が特筆されます。こうした分子変換の考え方は、その指導原理の新規性、明瞭性に加え、金属を用いないという意味での環境関連の優位性などから、国内外への波及効果が大きく、関連研究が盛んになり、その先鞭をつけた若き旗手と言うべき存在となっています。

 

授賞式は、2020年(令和2年)2月18日(火)に日本学士院(東京・上野公園)において、日本学術振興会賞の授賞式と同時に行われる予定です。

 

日本学士院学術奨励賞については、以下のページをご覧ください。
https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2020/011401.html