久保 健氏

ブロックチェーンに何を夢見るか

日時

2019年10月23日(水)14:00-15:30 、16:00-17:30

 

場所

京都大学理学研究科 1号館 335室 
アクセス 建物配置図(北部構内)【2】の建物

 

講師

久保 健氏(Zettant Inc.)

 

要旨

ビットコインを皮切りに注目を集めているブロックチェーン技術は、金融分野をはじめ、非金融の様々な分野への応用も視野に入れ、研究開発が進んでいる。ブロックチェーン技術への期待にビジネス要素が大きいことから、本質的、技術的な理解よりも、ビジネス応用が特に重要視されがちである。

本講演では、ブロックチェーン技術がもつ特徴を紐解き、何を目的として技術を利用すべきかを説明する。また近年の技術や市場動向を概観しつつ、基本となるビットコインおよびEthereumの仕組みを説明する。さらに、ブロックチェーンが達成しようとしていたことをシンプルに実現すべく開発した、次世代ブロックチェーン基盤 Beyond Blockchain-One (BBc-1) について紹介する。


開催報告

「ブロックチェーンに何を夢見るか」のタイトルで、久保健さん(Zettant Inc.)にお話をしていただきました。

 

前半部分は、Bitcoinを実現する技術として登場したブロックチェーンの歴史上で技術革新や関連する事件、またハイプ・サイクル調査(新規技術がどのようなフェイズにあるかを評価する)などに基づいて、ブロックチェーンの最近の位置付けについて解説していただいた。それから、Bitcoin取引において非中央集権化、改竄耐久性がどのように達成されているかのアルゴリズム、またEthereumを例に貨幣的性質を超えたブロックチェーンの応用を紹介していただいた。

後半部分では、応用的な話題からBitcoinが開発された時点でのブロックチェーンの役割に立ち戻って、"第3者からの信頼の必要なしに"という部分に着目し、それを単純な形で実現すべくご自身が開発されたbeyond-blockchain(bbc-1)の紹介をしていただいた。ブロックチェーンと明らかに異なる点は、多数の参加者の取引結果としてのブロックチェーンの耐久性によってではなく、1対1(または少数)間の多数取引結果としてのブロックチェーンの耐久性と電子署名技術の組み合わせによって、各取引の信頼性を確保するという考えであった。

質疑応答や休憩時間などでは、bbc-1の発展可能性、Facebookが中心に立ち上げたlibra、デジタル通貨、推薦(または非推薦)webサイトシステム等、豊富な関連話題も提供していただき、数理的アイディアをもとに理学、研究者社会を超えて異分野交流できる貴重な機会となりました。
(文責: 太田洋輝)