化学専攻・准教授 足立 俊輔
妻がいきなり「子供は四人、最低でも」と言い出したときは、冗談だと思った。当時は第一子が生まれたばかり、昼も夜もなく泣き続けていた。私も妻も疲労困憊で、(少なくとも私は)子供は一人でもう十分という気持ちだった。そして八年後、今では八、五、三、一歳(上から男、女、女、男)の四児の父になった。あの言葉があってこそと、妻には本当に感謝している。
三人目(以降)の子供は可愛いとよく言われるが、確かにそう感じる。私の感覚では、子供の人数をNとすると、(子育ての大変さ)∝[1-exp(-N)]でN=3辺りで飽和してしまう一方、子供の可愛さはNに比例して増加する。要するに、三人目以降は泣いていても怒っていても何をやっても可愛い。
こじつけかも知れないが、教育に従事する者として、仕事と子育ての同時並行により教育にも何か活かされることもあるのではないかと考えている。一方で、幼い子供が複数いる中で、なかなか行きづらいのが学会出張である。夫婦共働き、そして双方の両親共に遠居となると、一週間近くも家を留守にする海外出張などはかなりの後ろめたさを感じてしまう。そんな中思い切って、子供連れの海外出張に行ってみることにした。このコラムが掲載される頃にはどんな気分で帰国しているのだろうか、今から楽しみである。
最後に「両親に、これまで育ててもらった親孝行をしないと」とお考えの若い皆さん、ご両親への親孝行は全く必要ありません。皆さんは三歳までで、一生分の親孝行に値するだけの喜びと幸せをご両親に与えています。次は皆さんが、その喜びと幸せを子供から与えられる側になってもらえればと思います。