数理物理から導かれる新しい幾何学
玉城教授記念公開学術講演会について
玉城嘉十郎先生は京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さで他界されましたが、ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄付を頂き、先生を記念して毎年公開の学術講演会を開くことにいたしました。第1回は1969年秋、回を重ねること今回で62回に達しました。テーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生諸君の参加も多く、またもとより公開でありますので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しております。
日時
2023年12月14日(木)14:00~16:30
場所
吉田キャンパス
北部総合教育研究棟 益川ホール(北部構内マップ [13] )
※ オンライン配信はありません。現地開催のみですのでご注意ください。
講演プログラム
14:00-14:10 | 開会挨拶 |
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14:10-15:10 |
「量子コホモロジーの幾何学」 物理の超弦理論ではこの世の中の物質は長さはあるが太さはない「ひも」からできているとされています。その中でも閉じた「ひも」の研究から量子コホモロジーという概念が生まれ、数学でも研究されるようになりました。 |
15:20-16:20 |
「ゲージ理論と非可換ホッジ理論」 幾何学は物理学からさまざまな恩恵を受けてきました。例えば、物理学的な背景をもつ方程式の研究が幾何学的に豊かな世界の発見につながってきました。そのような方程式の一つとしてヒッチン方程式が挙げられます。ヒッチン方程式は、ゲージ理論で重要な自己双対方程式を簡単化したものとして1980年代に導入されました。物理よりも、むしろ幾何学的に面白い方程式で、空間の位相的な構造を調べる上で重要な基本群の表現やそのモジュライが持つ興味深い構造が、ヒッチン方程式の研究によって見出されました。そのような構造に基づく研究が非可換ホッジ理論と総称されています。非可換ホッジ理論は、ミラー対称性やツイスター理論にも刺激を受けながら発展し、数論や代数解析学といった分野にまでその影響がおよんでいます。また、自己双対方程式の別の簡単化として得られるボゴモルニー方程式についても非可換ホッジ理論的な対応が得られています。この講演では、このような研究の一端について紹介します。 |
16:20-16:30 | 閉会挨拶 |
対象
学部生・大学院生・教員・一般
聴講は無料
問い合わせ先
京都大学理学研究科 SACRA 広報・社会連携部門
FAX:075-753-9410
E-mail:mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
URL:https://sci.kyoto-u.ac.jp/ja/divisions/sacra
主催
京都大学理学部、財団法人湯川記念財団