スレヴィン大浜華

理学研究科 生物科学専攻 生物物理学教室 理論生物物理学分科 修士1回生

 

私は、タンパク質をコンピューター内で再現し、その構造変化や分子との結合をシミュレーションする研究をしています。2回生まで主に物理を学んでいましたが、今は生物系の研究室に所属しています。3回生で留学したブリストル大学理学部で、生物物理学や言語発達障害学を学んだのがきっかけで、現在の進路を選びました。

 

サイコムでは、専門的なことを誰にでも分かりやすく説明できるようになるとともに、専門分野への理解も深めたいです。プログラムが始まって4か月が経ちましたが、毎月楽しく取り組んでいます。講師の方々からは、自分では気が付かない点についてコメントを頂くことが多く勉強になります。初めのうちは文章が600字に収まらず苦労しましたが、推敲を重ねるうちに600字で伝えられることはたくさんあると感じるようになりました。これからの課題も楽しみです。

  

神野 裕貴

理学部 物理科学専攻4回生

 

他人に何かを伝えることは難しい。

 

私は理学部で物理を専攻している。「理学部で物理を専攻している人」というのは家族、親戚や知り合いの興味を多少は惹くらしく「どんなことを勉強してるの?」と尋ねられることがよくある。そこで私はよくぞ聞いてくれましたとばかりに身につけた知識の限りを尽くして面白く語ろうとするのだが、いつも返ってくるのは「わからへんけどなんか難しそうやなあ」という答えに窮した返答である。つまり伝わっていないのだ。

 

サイコムの活動に参加して講師の方々と何度かやりとりするうちに同じことをよく注意され、同時に自分の話が「伝わらない」理由の一端が少しずつ掴めてきた。語彙が難しいである。

 

例えば「エネルギー準位」という言葉、物理を学んだことのある人ならば大方のイメージは掴めるであろうが、そうでない人には宇宙の言葉を聞くに等しい「よくわからない単語」なのではないだろうか。サイコムの課題は多様な読者を仮定して文章を書くことになる。大学の研究を知りたい高校3年生、科学館の特別展に足を運んだお客さん、社会の動きを掴みたい新聞読者など、その知識や興味の背景は多種多様だ。そのような人々に対して理学部の友人に語りかけるのと同じようにしゃべれば失敗するのは当然だ。サイエンス・ライティングでは誰に、どんな言葉で語りかけるかが重要な要素の一つのようだ。そのことを意識して文章を書き、伝わる文章が書けるように練習をしていかなければならない。

 

ある日、家族にサイコムの課題で書いた自分の文章を読んでもらった、返ってきた返答は 「なんか難しそうなこと書いてるなぁ」まだまだ鍛錬が足りないようである。