活動報告

活動目的・内容

バクテリアを題材にした論文をいくつか読むことで、遺伝子レベルの話、化学反応レベルの話、 ポピュレーションレベルの話、など素朴に疑問を思うことについて、生物学的な知見、および、現象と数理の関係を学ぶことを目的にする。このSGでは、生物学的知識が少ない人と数理的な方法に馴染みがない人が混じることを想定しており、SG参加者は知りたいことを積極的に発言して、それにもとづいて様々な背景の人の意見を交換できる場をつくる。さらに、具体的な生物現象を掘り下げて、数理モデルを具体的に考えるような機会をつくりたい。

具体的には、バクテリアの増殖に関する論文 “Interdependence of Cell Growth and Gene Expression: Origins and Consequences”, MATTHEW SCOTT, CARL W. GUNDERSON, EDUARD M. MATEESCU, ZHONGGE ZHANG, AND TERENCE HWA, SCIENCE　19 Nov 2010, Vol 330, 　pp. 1099-1102　を９０分ｘ５回で読んだ。その後、バクテリアの死に関する論文”Death Rate of E. coli during Starvation Is Set by Maintenance Cost and Biomass Recycling” SJ Schink, E Biselli, C Ammar, U Gerland - Cell systems, 2019 を９０分ｘ５回で読んだ。最後に、バクテリア成長則の数理モデルに向けた論文　”Analytic derivation of bacterial growth laws from a simple model　of intracellular chemical dynamics” Parth Pratim Pandey, Sanjay Jain,Theory Biosci. (2016) 135:121–130 を９０分ｘ２回で読んだ。

活動成果・自己評価

バクテリア増殖や死について、様々な実験条件下のデータから普遍的な法則を見出そうとする方法を学んだ。生物学の幅広い知識が必要なだけでなく、実験データの解釈を正しく行うためには論文の行間をよく読む必要がある。必ずしも専門家ではない発表者たちは大変よく準備をして、楽しい議論が成立していた。上記３つの論文を物理学宇宙物理学専攻の院生や教員がひとりで読むのは不可能であったが、様々な背景をもった参加者と分からないところを共有しながらすすめることで、全体的な理解を得ることができた。また、ときに、脱線して広がった関連する話題の雑談も刺激的だった。

参加メンバー