企画名

ソースコードから始まる異分野交流
 

参加教員

教員名 所属 職名
伊丹 將人(代表教員) サイエンス連携探索センター 特定助教
西本 佳央 化学専攻 助教
 

企画の概要

 数値計算は数学・物理・地学・化学・生物の全ての領域で研究に利用されており、プログラミング言語は研究者の「共通言語」になっているが、研究で使われたソースコードは公開されないことも多く、異分野交流は活発ではない。そこで本SGでは、様々な専攻・分野の教員・大学院生に、過去の研究で使用した数値計算のソースコードとその研究背景をセミナー形式で丁寧に解説していただくことで、「共通言語」を介した異分野交流を行う。この交流で、思いもよらない新たな繋がり・発見が生まれることを期待している。また、漠然とセミナーを聞くだけでは刺激が少ないので、セミナー後には参加者同士で議論する時間をとり、コードの改良・発展の提案を1つの目標とする。
 思いもよらない発見へと繋げるためにも、研究分野のみならず、プログラミングの利用目的・使用言語・熟練度の異なる多様な研究者にセミナーをお願いする予定である。プログラミング言語の基本的な部分には共通点が多いので、使用言語の違いは刺激にはなっても障害にはならないと考えている。一方で、異なる分野で共通の手法がどのように使われているのかを知るのも面白そうである。より詳細なセミナーの計画は参加者と共に決めていく。
 本SGは特定の手法の習得を目指したり、特定の課題を追究するものではないため、多くの教員・大学院生・学部生に気軽に参加していただければ幸いである。同じ専攻・同じ分野であっても研究のアプローチは多様で、研究の中でどの程度の数値計算が必要になるかは個々人で全く異なるものの、学部生にとっては、研究の現場で使われている数値計算のレベルを具体的に体感できる良い機会にもなり得ると考えている。

 

実施期間・頻度

 前期(6月~7月)と後期(10月~1月)に隔週でセミナーを実施する予定。セミナーは議論込みで90分程度を想定しており、曜日・時間帯は参加者で調整する。

 

TA雇用の有無

TA雇用あり(対象は理学研究科の大学院生で、業務は他の参加者からのプログラミングに関する質問への対応を想定している)
 

その他、特記事項など

 あらゆる専攻の教員・大学院生・学部生の参加を歓迎する。セミナーは対面・ハイブリッド・完全オンラインのどれでも実施可能なので、どの方法をとるかは参加者で相談して決める。ただし、参加人数や新型コロナウイルスの感染状況によっては、希望者が多くても対面では実施できない可能性もある。連絡・相談などはSlackを通して行う予定である。
 

問い合わせ先

伊丹 將人   itami.masato.7u*kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてください)
 

スタディグループへの登録は締め切りました。
関心のある方は macs *sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)までご連絡ください。


画像
ポスター
 表1:セミナーの発表者・タイトル・発表者の使用言語の一覧

 

SG11報告会資料ダウンロード

SG11ポスター

活動報告

活動目的・内容

 数値計算は自然科学のあらゆる分野で研究に利用されており、プログラミング言語は研究者の「共通言語」になっているが、研究で使われたソースコードは公開されないことも多く、数値計算を軸とした異分野交流は活発ではない。そこで本スタディグループでは、様々な分野の教員・大学院生・学部生で集まり、過去の研究で使用した数値計算のソースコードとその研究背景をセミナー形式で解説し合うことで、「共通言語」を介した異分野交流を行った。また、各自の分野でどのような数値計算が行われているかや、どのようなプログラミング言語がよく利用されているかなどの情報も交換することで、個別の研究を超えて各々の分野に関する相互理解も深めた。異分野での数値計算について学ぶことで、参加者のプログラミングスキルの向上を図るのはもちろんのこと、思いもよらない新たな繋がりや発見が生まれることを期待した。

 

活動成果・自己評価

参加者による発表を計6回行い、外部講師によるセミナーを計3回行った。発表者・タイトル・発表者の使用言語を表1にまとめた。この一覧から分かるように、数値計算を軸として数学・物理学・地学・化学を専攻する多彩なメンバーで交流することができた。各々の分野で使われているプログラミング言語について話し合ってみると、教員はFortranやC++の利用者が多い一方で、大学院生はJuliaやPythonの利用者が多いことがわかり、印象的であった。参加している大学院生のJulia使用率が高かったため、希望者には永井佑紀氏の『1週間で学べる!Julia数値計算プログラミング』を配り、夏休みの宿題として読んでもらった。また、後期には本の著者である永井佑紀氏に、Juliaによる科学技術計算についてセミナーをしていただいた。参加者の下村顕士氏は永井氏のセミナーで学んだことを活かして過去の研究で用いたJuliaのコードの高速化に挑戦し、その成果を成果報告会のポスターで発表した。企画の段階で、参加者によって紹介されたコードの改良・発展を1つの目標としたが、一定の成果をあげることができた。
 予想していたよりも多彩な分野の研究者で交流することができ、普段は知ることのない異分野の研究やプログラミング事情を知ることができたので、刺激的で有意義な活動になったのではないかと考えている。代表教員である私自身、この活動がきっかけで研究でもJuliaを使うようになり、実りあるものとなった。反省点としては、年齢の高い順に発表することになったためか、発表が研究に重きを置いたものばかりになってしまった。気軽さがなかったせいか、総発表回数も伸びなかった。まだ研究をしたことがない参加者もいたので、もう少し緩い気軽な交流の機会をもてるとより良かったと思う。

 

参加メンバー

氏名 所属 職名・学年
伊丹 將人(代表教員) サイエンス連携探索センター 特定助教
西本 佳央 化学専攻 助教
角祐大郎 物理学・宇宙物理学専攻 M1
岸広登 数学・数理解析専攻 B3
近藤尚紀 数学・数理解析専攻 M2
下村顕士 物理学・宇宙物理学専攻 M1
松本健心 物理学・宇宙物理学専攻 M1
横田和磨 物理学・宇宙物理学専攻 M2
山本裕生 化学専攻 教務補佐