(上図:理研AICSデータ同化チームより提供)
 

企画名

データ同化の数理と応用:理論モデルとデータをつなぐデータサイエンス

参加教員

教員名 所属 職名
坂上 貴之(代表教員) 数学・数理解析専攻 教授
宮崎 真一 地球惑星科学専攻 教授
三好 建正 理化学研究所 連携教授
大塚 成徳 理化学研究所 連携准教授
 

企画の概要及び実施期間・頻度

近年発展のめざましい数理統計学分野の1つに「データ同化」がある.データ同化は,現象の理論数理モデルのシミュレーション結果に本質的に含まれる予測誤差を観測データによって補正を行い,その予測力を向上させる手法である.例えば現在の数値天気予報における予測可能期間の向上はデータ同化手法のもたらしたものである.一方,理学研究の各分野においては実験・観測によるデータ研究と理論モデルによる研究がその両輪となっており,現代の数理統計的手法によって,精密化・大規模化するデータを有益に利用して理論モデルに組み込む新しいスタイルの研究が可能になりつつある.また,企業などにおいても長年蓄積された技術の理論モデルと計測データとの高度融合が望まれており,そのような開発を担う高度な職業人の輩出も大学にもとめられている.
昨年に引き続き,理学における様々なデータと数理モデルを融合するデータ同化の基礎と応用について講義と実習およびその後のフォローアップのセミナーやチュートリアルを軸とした年間のコースを実施し,データ同化を用いた各理学分野の新研究の創出,理学研究科の修士/博士学生の新しいキャリアパス構築を目指す.講義型SGとして週一回の講義(前期/後期)を開講.それに合わせて研究セミナーも開催する予定である.また夏冬にデータ同化研究会を理研と京大でそれぞれ一回ずつ開催,12月にはデータ同化スクールなども計画している.なお,2020年度は新型コロナウィルスの影響で,講義が開講できなかったが,2021年度は理学研究科での講義可能形態を考慮してそれに従って開講を検討する.開講が難しい場合でもオンラインチュートリアルを開催するなどして希望学生がデータ同化の基本技術を身につけられるようにする.

 

TA雇用の有無(講義型の場合には単位認定の有無)

単位認定あり.TA雇用無
 

問い合わせ先

坂上 貴之 sakajo*math.kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてください)
 

スタディグループへの登録は締め切りました。
関心のある方は macs *sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)までご連絡ください。

 


  
図1: 理研・京大データ同化研究会 (2022年3月16日)

図2: データ同化講義のポスター

報告会資料ダウンロード(1279 KB)

活動報告

活動目的・内容

 近年発展のめざましい数理統計学分野の1つに「データ同化」がある.データ同化は,現象の理論数理モデルのシミュレーション結果に本質的に含まれる予測誤差を観測データによって補正し,その予測力を向上させる手法である.例えば現在の数値天気予報における予測向上の多くがデータ同化手法によってもたらされた.一方,理学研究の各分野においては実験・観測によるデータ研究と理論モデルによる研究がその両輪となっており,現代の数理統計的手法によって,精密化・大規模化するデータを活用して理論モデルと融合する新しいスタイルの研究が可能になりつつある.また,企業などにおいても長年蓄積された技術の理論モデルと計測データとの高度融合が望まれており,そのような開発を担う高度な職業人の輩出も大学にもとめられている.
 このような状況に対して,理学における様々なデータと数理モデルを融合するデータ同化の基礎と応用について講義と実習およびその後のフォローアップのセミナーやチュートリアルを軸とした年間のコースを実施し,データ同化を用いた各理学分野の新研究の創出,理学研究科の修士/博士学生の新しいキャリアパス構築を目指す.講義型SGとして週一回の講義(前期/後期)を開講.それに合わせて研究セミナーも開催する予定である.また夏冬にデータ同化研究会を理研と京大でそれぞれ一回ずつ開催,12月にはデータ同化スクールなども計画している.なお,2020年度は新型コロナウィルスの影響で,講義が開講できなかったが,2021年度は理学研究科での講義可能形態を考慮してそれに従って開講を検討する.開講が難しい場合でもオンラインチュートリアルを開催するなどして希望学生がデータ同化の基本技術を身につけられるようにする.

 

活動成果・自己評価

活動成果:令和3年度の活動として,前期・後期に講義「データ同化A・B」を実施した.前期のデータ同化Aは16名が履修し,データ同化の理論と応用について,その入門から基礎を学んだ.低次元のカオス力学系モデルを使った実習課題に取り組むことで,実際の問題に適用するために必要な実践的な基礎技術を習得した.後期のデータ同化Bは2名が履修し,前期で履修した内容を前提とした上で,データ同化の理論と応用についてその基礎を究め,実際の応用力を養った.理研・京大データ同化研究会は,夏期はCOVID-19の影響もあり開催しなかったが,2022年3月16日にオンライン開催した研究会において,1名の学生が個別課題への取り組み結果を報告した.

自己評価:昨年度はCOVID-19流行でやむを得ず不開講とした講義「データ同化A・B」を今年度は開講することができ,特に前期は多くの受講生を集めた.例年と同様,参加者の意欲は高く,限られた時間で高い学習効果を得られた.

 

参加メンバー

教員名 所属 職名
坂上 貴之(代表教員) 数学・数理解析専攻 教授
宮崎 真一 地球惑星科学専攻 教授
三好 建正 理化学研究所 客員教授
大塚 成徳 理化学研究所 連携准教授

その他:学部生5名、院生(修士)10名、院生(博士)1名