企画名
理化学研究所とMACSを繋ぐパイプライン |
参加教員
教員名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
小林 俊介(代表教員) | 数学・数理解析専攻 | SACRA特定助教 |
坂上 貴之 | 数学・数理解析専攻 | 教授 |
初田 哲男 | 理化学iTHEMS | プログラムディレクター |
企画・要旨
本スタディグループでは,理化学研究所数理創造プログラム(以下,理研iTHEMS)を理研側窓口とし,京大MACSに参加している学生と理化学研究所に所属する数理科学者との間で相互的な研究交流を図り,強固な繋がりを築き上げることを目的とする.
理研iTHEMS(https://ithems.riken.jp/ja)は,理論科学・数学・計算科学の研究者が分野の枠を越えて基礎研究を推進する新しい国際研究拠点である.理研iTHEMSでは「数理」を軸とする分野横断的手法により,宇宙・物質・生命の解明や,社会における基本問題の解決が図られている.さらに,分野横断型・滞在型のスクールや,様々な分野において第一線で活躍する基礎科学研究者を招いたワークショップ,企業や社会で数理がどう使われているかを知るための産学連携レクチャーや日常的な分野交流などを通して,ブレークスルーを齎す研究土壌の開発や若手人材の育成が進められている.
さて,今年度における活動の基本的な流れとして,まずは交流希望の理研研究者にコンタクトをとり,研究指導の承諾を得る.その後,学生と理研研究者同士で研究テーマや具体的な活動内容,活動頻度を相談の上設定し,各自研究活動に取り掛かる.また本スタディグループ全体の活動として,月に1度の進捗報告会を開催し,理研研究者に現状報告を行うことで,分野横断的な研究議論を行う. また,上記に追加して以下のような活動を計画している:
- 理研iTHEMS(またはこれに所属する客員研究員)が主催する種々の研究セミナー,ワークショップ,集中講義等への参加.
- 理化学研究所に属する数理科学関連研究室への訪問や,短期滞在などを通じた研究交流.
- 理化学研究所に所属する(客員研究員も含む)数理科学関連の研究者を京都大学へ招致し,学生が希望するテーマに関する講義・講演の聴講.
- その他,参加学生自らが企画する行事の開催.
以上のような活動を通じて,MACS教育プログラムが掲げる「数理を基盤として理学5分野を横断する融合研究を推進し,狙ってもできない新たな学問分野の自発的創出」を目指し,学生自らが主体的かつ積極的に「分野横断的課題の発見と解決に学際的な視点から取り組む」ことを期待する.
実施期間・頻度
令和3年度 通年
TA雇用の有無
現在検討中.
その他,特記事項など
- 1.理研iTHEMSが主催するセミナー等の情報は,例えばSlackなどのアプリケーションを通じて案内する.2021年度の活動がオンラインを主とする場合には,希望する学生に対し,Webセミナー参加のためのiPad等の機器を本スタディグループで購入し,貸与する.
- 2.理化学研究所に属する数理科学関連研究室への訪問や短期滞在については,学生受け入れ可能である研究室先に限る.受け入れ可能研究者のリストは最後に掲載する.なお,受け入れ可能研究者の所属は理研iTHEMSに限らず,理研AIP,理研R-CCS,理研BSIなど様々である.以下に,それぞれのWebページへのリンクを記載する:
- 理研AIP(理化学研究所 革新知能統合研究センター)
https://aip.riken.jp/?lang=ja - 理研R-CCS(理化学研究所 計算科学研究センター)
https://www.r-ccs.riken.jp/jp/ - 理研BSI(理化学研究所 脳神経科学研究センター)
https://bsi.riken.jp/jp/
- 理研AIP(理化学研究所 革新知能統合研究センター)
- 3.研究議論のための理化学研究所諸施設への出張・滞在費や,本スタディグループを契機に生まれた共同研究に関わる研究費,学会出張費,論文投稿料などの費用は,支援することが可能である.
学生受け入れ可能研究室
No. | お名前 | 主な勤務地 | 研究主分野 | 研究関連分野 | 研究テーマやキーワードなど | Riken HP | HP |
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1 | 初田 哲男 | 和光 | ・自然科学一般 | ・半導体,光物性,原子物理 ・素粒子,原子核,宇宙線,宇宙物理に関する理論 |
・ハドロン物理 ・カイラル対称性 ・ 量子力学 ・核力 ・熱場の量子論 ・格子ゲージ理論 ・グラフェン ・冷却原子気体 ・中性子星 ・クォーク・グルーマン・プラズマ |
RikenHP | |
2 | 畑埜 晃平 | 九州大学 | ・コンピューター科学 | ・情報学基礎論 ・知能情報学 |
・オンライン意思 ・決定問題機械学習 ・機械学習手法の他分野への応用 |
RikenHP | HP |
3 | 榎戸 輝揚 | 和光 | ・数物系科学 | ・工学 ・環境学 ・複合領域 ・総合理工 ・素粒子、原子核、宇宙線、宇宙物理 ・天文学 ・環境影響評価 |
・ブ ラックホールや中性子星などの宇宙の特殊な天体からのX線信号に対するデータ解析 ・シチズンサイエンスの枠組みを活用し,雷や雷雲で発生する放射線の解析 ・高エネルギー大気物理学 ・X線天文学 ・ 超小型衛星 ・中性子星 ・月面水資源探査 |
RikenHP | |
4 | 浜中 雅俊 | 日本橋 | ・コンピューター科学 | ・工学 ・学際研究 |
・音楽情報科学 ・ドローン ・創薬 |
RikenHP | |
5 | Ade Irma Suriajaya | 和光 | ・数物系科学 | ・解析的整数論 | ・解析的整数論 ・ゼータ関数とL関数の解析的性質 ・ゼータ関数とL関数の導関数の零点 |
RikenHP | HP |
6 | 足立 景亮 | 神戸 | ・自然科学一般 | ・磁性,超伝導,強相関系 ・生物物理,化学物理,ソフトマターの数理 |
・物性物理 ・生物物理 |
RikenHP | HP |
7 | 多田 司 | 和光 | ・自然科学一般 | ・素粒子論,原子核,宇宙線,宇宙物理に関する理論 | ・素粒子論 | RikenHP | |
8 | 平岡 裕章 | 京都大学 | 数物系科学 | ・情報学 ・総合理工 ・生物学 ・数学基礎、応用数学 |
・トポロジカルデータ解析 ・パーシステントホモロジー |
RikenHP | HP |
9 | 中嶋 隆人 | 神戸 | ・ナノテク・材料 ・基礎物理科学 |
・電子相関理論 ・相対論的分子理論 ・大規模分子理論 ・量子化学 ・理論分子科学 |
RikenHP | ||
10 | 入谷 亮介 | 和光 | ・ライフサイエンス | ・生態学,環境学 | ・数理生物学 ・進化生態学 |
RikenHP | |
11 | 清水 昌平 | 滋賀大学 | ・情報学 | ・工学 ・社会科学 ・統計科学 |
・因果探索 | RikenHP | HP |
12 | 三好 建正 | 神戸 | ・数物系科学 | ・情報学 | ・データ同化 ・数値天気予報 ・大規模シミュレーション ・アンサンブルデータ同化 ・自然災害予測 |
RikenHP | HP |
13 | 太田 慎一 | 大阪大学 | ・数物系科学 | ・情報学 ・総合理工 ・幾何学 ・解析学基礎 ・数学基礎・応用数学 |
・リーマン幾何学・フィンスラー幾何学 ・最適輸送理論 ・凸関数の勾配流 ・最適輸送理論 ・情報幾何学 ・凸最適化 ・位相的データ解析 ・多様体学習 |
RikenHP | |
14 | 坪井 俊 | 和光 | ・数物系科学 | ・基礎解析学 ・幾何学 |
・位相幾何学 ・力学系理論 |
RikenHP | |
15 | 長瀧 重博 | 和光 | ・数物系科学 | ・情報学 ・理論宇宙物理学 ・宇宙線物理学 ・原子核宇宙論 |
・超新星 ・ガンマ線バースト ・ブラックホール ・中性子星 ・宇宙線 |
RikenHP | |
16 | 杉田 有治 | 神戸,和光 | ・化学 | ・物理学 ・材料科学 ・生物学 & 生化学 ・コンピューター科学 ・学際研究 |
・生体膜と膜タンパク質のダイナミクス の解明 ・糖鎖とタンパク質の相互作用の解明 ・理論化学・理論生物物理を統合した新しい理論と計算手法の開発 ・細胞内分子混雑環境の理解 |
RikenHP | HP |
17 | 川口 喬吾 | 神戸 | ・ライフサイエンス ・自然科学一般 |
・生物物理学 ・生物物理,化学物理,ソフトマターの物理 |
・生物物理 | RikenHP | |
18 | 中川 裕志 | 日本橋 | ・社会科学 一般 ・コンピューター科学 |
・工学 | ・AI倫理 ・プライバシー保護技術 ・人工知能の社会的影響 ・パーソナ ルAIエージェントによる個人データの保護と利活用 ・AIとビッグデータに係わる法制度や社会の在り方に関する分析 |
RikenHP | |
19 | 巌佐 庸 | 和光,神戸 | ・ライフサイエンス | ・生態学,環境学 ・数理生物学 |
・数理モデル ・生態学 ・進化学 ・発生生物学 ・数理生態学 |
RikenHP | |
20 | 豊泉 太郎 | 和光 | ・情報学 | ・複合領域 ・ 工学 ・総合生物 |
・計算神経科学 ・情報統計力学 ・神経学習理論 |
RikenHP | |
21 | Jeffrey Fawcett | 和光 | ・ライフサイエンス | ・進化生物学 ・ゲノム生物学 |
・ゲノム進化 | RikenHP | |
22 | 三角樹弘 | 近畿大学 | ・自然科学一般 | ・素粒子,原子核,宇宙戦,宇宙物理に関する理論 | ・物理学, 素粒子 ・原子核 ・宇宙, 素粒子と場の一般理論 |
HP | |
23 | 大塚成徳 | 神戸 | ・データ同化 | RikenHP | |||
24 | 濱崎 立資 | 和光 | ・数物系科学 | ・量子力学,統計力学,非平衡物理学 ・量子情報,物性物理,原子分子物理 |
・量子統計基礎論 ・熱平衡化 ・冷却原子 系 ・孤立量子系 ・開放量子系 ・多体系 |
RikenHP | HP |
25 | Catherine Beauchemin | 和光 | ・Life science | ・Physics ・Virology ・Computer science ・Mathematics |
・mathematics of virus infection ・model building and validation ・Markov chain Monte Carlo parameter estimation ・(optional) Linux and open source software |
RikenHP | HP |
26 | 宮崎 弘安 | 和光 | ・数物系科学 | ・数論幾何 ・代数幾何 |
・モチーフ ・モジュラス ・コホモロジー ・代数的サイクル |
HP | |
27 | 許インイン(Xu Yingying) | 京都大学(SUURI-COOL Kyoto) | ・情報学 | ・総合理工 ・情報統計力学 ・統計学 ・機械学習 ・バイオインフォマティクス |
・ランダム行列理論 ・レプリカ法 ・Message passing algorithm ・スパースモデリング ・圧縮センシング ・最適化アルゴリズム,統計的機械学習 ・ゲノムシーケンスデータ解析 ・Epistasis, co-selection |
RikenHP | HP |
問い合わせ先
小林 俊介 s.kobayashi*math.kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてください)
スタディグループへの登録は締め切りました。
関心のある方は macs *sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)までご連絡ください。
活動報告
活動目的・内容
本スタディグループでは,理化学研究所数理創造プログラム(以下,理研iTHEMS)を理研側窓口とし,京大MACSに参加している学生と理化学研究所に所属する数理科学者との間で相互的な研究交流を図り,強固な繋がりを築き上げることを目的とする.今年度における活動の基本的な流れとして,まずは交流希望の理研研究者にコンタクトをとり,研究指導の承諾を得る.その後,学生と理研研究者同士で研究テーマや具体的な活動内容,活動頻度を相談の上設定し,各自研究活動に取り掛かる.また本スタディグループ全体の活動として,月に1度の進捗報告会を開催し,理研研究者に現状報告を行うことで,分野横断的な研究議論を行う.これに追加して,以下のような活動を計画している:
● 理化学研究所に属する数理科学関連研究室への訪問や,短期滞在などを通じた研究交流
● 理化学研究所に属する(客員研究員も含む)数理科学関連の研究者を京都大学へ招致し,学生が希望するテーマに関する講義・講演の聴講
● その他,参加学生自らが企画する行事の開催
以上のような活動を通じて,MACS教育プログラムが掲げる「数理を基盤として理学5分野を横断する融合研究を推進し,狙ってもできない新たな学問分野の自発的創出」を目指し,学生自らが主体的かつ積極的に「分野横断的課題の発見と解決に学際的な視点から取り組む」ことを期待する.
活動成果・自己評価
今年度は,オンライン上での活動となった.まずは,本スタディグループ参加登録学生が交流を希望する理研研究者へコンタクトをとり,研究テーマや活動方針を決め,学術交流を開始した.交流の仕方は一通りではなく,定期的なゼミ形式での交流,交流希望の研究者が主催するセミナーやゼミの聴講,すでに他のスタディグループで得られている成果のブラッシュアップ,そして共同研究への昇華を目指した研究議論など,参加者により様々であった.
単なる勉強で終わるのではなく,分野間の垣根を超えた交流を実現でき,さらには理研研究者の方と今後の研究に繋がるような交流を築けた点が,本SG活動の大きな成果である.以下に参加学生からいただいた感想を一部抜粋する:「研究室でメインに研究している事とは異なるテーマに取り組めてよかった」「昨年度からの継続により,複数の手法を試行錯誤できたため,研究の質の向上につながった」「本スタディグループのような活動なしに理研の研究者の方にコンタクトを取るのはハードルが高いので,非常に良い機会に恵まれた」「本スタディグループの参加者のバックグラウンドも様々であり,進捗報告会にて他分野の研究内容に触れられたのも良かった」
学生を受入してくださった研究者にとっても,メリットのある活動であったと評価したい.実際,「新型コロナウイルスの影響で共同研究の推進が希薄になっている中、京都大学の学生とコネクションができるというのは、まさにパイプラインとして重要だった」「私の「自分より若い研究者の指導理念」を形成するほどに、重要な経験となりました」「オンラインが不得手とする部分はありますが、本プログラムはその良い側面を使用して新しい教育・研究経験を提供していると思います。」などの意見を理研研究者から頂いている.
その一方で,上手く研究テーマ設定ができず,十分な活動ができなかった学生からは,「SGに割く時間を十分に取れなかったことと,SGの研究プロジェクトをどう進めたら良いのかわからなかった」という意見をもらっており,そのような学生の扱いについては今後一考の余地があると反省している.
参加メンバー
氏名 | 所属 | 職名・学年 |
---|---|---|
小林 俊介代表教員) | 数学・数理解析専攻 | SACRA特定助教 |
坂上 貴之 | 数学・数理解析専攻 | 教授 |
初田 哲男 | 理化学iTHEMS | プログラムディレクター |
田熊大輝 | 生物科学専攻 | B3 |
衣笠公陽 | 数学・数理解析専攻 | M1 |
今井稀温 | 地球惑星科学専攻 | M1 |
菱田温規 | 生物科学専攻 | M1 |
山地 紀香 | その他(農学部) | B4 |
兎子尾理貴 | 物理学・宇宙物理学専攻 | D2 |
伊東 杏花里 | 生物科学専攻 | B4 |
山本和樹 | 物理学・宇宙物理学専攻 | D2 |
栁澤優介 | 物理学・宇宙物理学専攻 | M1 |
山本 亞理紗 | 数学・数理解析専攻 | M2 |
一色 竜一郎 | その他(農学部) | B2 |