企画名

細胞内化学反応の数理モデリング

参加教員

教員名 職名 所属
太田 洋輝 MACS特定助教 物理学・宇宙物理学専攻
國府 寛司 教授 数学・数理解析専攻
Ganesh Pandian NAMASIVAYAM 助教 化学専攻
柴田 達夫 チームリーダー 理研

関連専攻

専攻名  
数学・数理解析
物理学・宇宙物理学
地球惑星科学
化学
生物科学
●:参加教員の専門分野(所属専攻)・学生を募集する主な分野(専攻)
○:学生・教員から希望があれば参加可能な分野(専攻)
 

実施期間(開講曜日・時間等)

年度・期 開講曜日 時間 場所
平成29年度・通年 火曜日(1 週間または 2 週間に1回) 第3限(13:00〜14:30) 未定

企画要旨・目的

[1] の輪講を基本にして、細胞内の化学反応ダイナミクスに対する単純な数理モデリングの方法を学びながら、遺伝子制御に関する細胞現象、特にエピジェネティクスに関連した数理モデリングを考察する。このスタディグループの一番の目標は、この題材の基に集まった異なる背景を持つ参加者たちが、お互いに議論するために必要な共通言語を学ぶことである。理想的には、このスタディグループが終了時に、参加者同士が遺伝子制御に関する化学反応現象に関して、数理モデリングを有効に使用しながら議論できるようになることである。その中から、参加者自身の研究に対する何らかのヒントを見つけられる可能性もあろう。1回のスタディグループを時間的に2つにわけ、一つの時間帯で [1] の輪講、もう一つの時間帯でクロマチン, エピジェネティクス関連の論文紹介を行う。大まかに、輪講は修士学生が担当し、博士学生や教員はそれぞれ持ち寄った論文紹介を行うことを考えている。しかしながら役割や題材は、グループの状況を考慮しながら柔軟に再設定する。例えば適宜、ネットワーク上確率過程モデリング [2] やReaction network theory [3] について補足等を考えている。

[1] “Mathematical modelling in systems biology: An introduction” B. Ingalls, MIT Press (2013).
[2] “Networks: An introduction” M. Newman, Oxford Univ. Press (2010).
[3] “Chemical reaction network: Graph-theoretical approach”, O. N. Temkin, A. V. Zeigarnik, D. G. Bonchev, CRC Press (1996).

 

問い合わせ先

太田洋輝 ohta.hiroki.6c*kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてください)
 

スタディグループへの登録は締め切りました。
関心のある方は macs *sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)までご連絡ください。

 


活動報告

2017年度MACS-SG6「細胞内化学反応の数理モデリング」では、スタディーグループの前半をB. Ingalls著「Mathematical modelling in systems biology」の輪講、後半を参加者自身の研究発表や関連論文紹介を通した議論とし、活動を行った。

 

前期の輪講では、単純な化学反応から始まり、そこから段階的に酵素反応が単純な化学反応の組み合わせとしてどのように導出されるかを学んだ。議論パートでは、専攻の異なる参加教員によって異なる角度から、遺伝子制御ネットワークについての基礎を紹介するセミナーを行った。

 

後期の輪講は、遺伝子制御ネットワーク、特にリプレッサーとアクティベーターの数理モデリングから始まり、それらと酵素反応等の組み合わせた数理モデルが、実際の細胞で見られるスイッチ的振る舞いや振動現象を示すこと、そして数理モデリングを併用した2000年頃から始まる構成的生物学の基礎を学んだ。後期の議論パートは、分化、リプログラミング、パターン形成等の数理モデルの論文紹介を行った。

 

また後期には、望月敦史さん(理研望月生物学研究室)に、広いクラスの化学反応ネットワークで成り立つ限局則に関する理論、柴田達夫さん(理研生命システム研究センター)に細胞間相互作用から発生ダイナミクスを理解する数理モデル、戎家美紀さん(理研生命システム研究センター)に自発分化等の最先端の構成生物学について、オープンセミナーとして講演していただいた。

 

SGの回を重ねるにつれて、専攻によって異なる専門用語にも徐々に慣れていき、議論したい話題が増えるとともに徐々に自分で調べて先に進めていけるようにもなった。今回の活動が、将来的にそれぞれの参加者の研究を発展させるヒントになっていくと期待する。

 

参加メンバー

氏名 所属 職名・学年
太田 洋輝(代表教員) 物理学・宇宙物理学専攻 MACS特定助教
國府 寛司 数学・数理解析専攻 教授
Ganesh Pandian NAMASIVAYAM 化学専攻 助教
柴田 達夫 理化学研究所 チームリーダー
井倉 毅 放射線生物研究センター 准教授
古谷 寛治 放射線生物研究センター 講師
西口 純矢 数学・数理解析専攻 教務補佐員
Zutao YU 化学専攻 D2
日高 拓也 化学専攻 M2
田中 祥貴 理学部 生物系 B4