孵卵後3.5日目のトリ胚。すでに脳、眼、心臓、手足の原型がはっきりとみてとれる。このような形はどのようにして出来上がるのだろうか?
 

企画名

生き物の“かたち”を数理で探る
- 論文"On the growth and form of the gut" を起点にして -

参加教員

教員名 職名 所属
高橋淑子 教授 生物科学専攻
國府寛司 教授 数学・数理解析専攻
荒木武昭 准教授 物理学・宇宙物理学専攻

関連専攻

専攻名  
数学・数理解析
物理学・宇宙物理学
地球惑星科学
化学
生物科学
●:参加教員の専門分野(所属専攻)・学生を募集する主な分野(専攻)
○:学生・教員から希望があれば参加可能な分野(専攻)
 

実施期間(開講曜日・時間等)

年度・期 開講曜日 時間 場所
平成28年度 後期 未定 未定 セミナー室

企画要旨・目的

生き物の体づくりや器官形成の原理を、力学的に理解することをめざす。主に取り上げる題材は、 C.Tabin 他による "On the growth and form of the gut" (Nature 2011) や、"Villification: how the gut gets its villi" (Science 2013)を考えている。特に前者のNaturer論文では、腸の形態形成のしくみを、発生生物学的解析、ゴム膜を用いた実験計測、弾性体の物理学、数理モデルの構築とシミュレーションなどを組み合わせて解明しようとした興味深い論文であり、生き物の形作りを理解するための金字塔的学際融合研究と位置づけられている。分野横断的アプローチによっ て、生物の様々な形態の成り立ちを理解する可能性を議論する。

 

問い合わせ先

高橋淑子 yotayota*develop.zool.kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてください)
 


活動報告

 本SGでは、生き物の体づくりや器官形成の原理を数理的に理解することを目指し、C.Tabin 他による "On the growth and form of the gut (Nature 2011)” の輪読およびニワトリ胚の観察実習を行った。この論文は、腸の形態形成のしくみを、発生生物学的解析、弾性体の物理学、数理シミュレーションなどを組み合わせて解析した興味深い論文である。輪読では、参加学生達(生物科学専攻6名、物理学専攻3名、数学専攻1名、生命科学科1名)が順番に発表し、論文を深く理解できた上に、専攻の枠を超えた交流を行うことができた。また、ニワトリ胚の観察実習では、本物のニワトリ胚の腸発生に触れることで、論文を読むだけではわからなかったことを理解したり、新たな疑問を思いついたりしていた。中でも特に、物理学専攻や数学専攻の学生達は強い刺激を受けたようだ。本SGの最終回では、立命館大学理工学部物理科学科の和田浩史氏を招聘し、セミナーを行った。生物をかたちづくる力の法則について、複合体の力学を中心とした最新のトピックを説明して頂き、参加者全員で熱心な議論を繰り広げた。
 

代表教員:高橋 淑子(生物科学専攻)
 

参加メンバー

氏名 職名・学年 所属
高橋 淑子(代表教員) 教授 生物科学専攻
國府 寛司 教授 数学・数理解析専攻
荒木 武昭 准教授 物理学・宇宙物理学専攻
高瀬 悠太 MACS特定助教 生物科学専攻
清水 将裕 D2 生物科学専攻
草場 哲 D1 物理学・宇宙物理学専攻
浅倉 祥文 M1 生命科学研究科
清水 雄貴 M1 数学・数理解析専攻
谷口 柊平 M1 物理学・宇宙物理学専攻
平泉 真生 B4 理学部
赤岩 孝憲 B3 理学部
田中 祥貴 B3 理学部
西谷 真知 B3 理学部
林 大寿 B3 理学部

ニワトリ胚の腸の観察実習(2016年11月4日)

 
 

スタディグループ8「生き物のかたちを“数理”で探る」では、本グループの教材として用いた論文“On the growth and form of the gut (Nature 2011) ”の研究対象であったニワトリ胚の腸ルーピングを実際に観察しました。

生物科学専攻の学生・教員が実験器具の使い方や観察のしかたを教え、数学専攻や物理学専攻の学生・教員たちも、自分達の手で解剖や観察を行いました。孵卵6, 8, 12, 16日目の本物のニワトリ胚を解剖し、腸のルーピング形成過程や腸間膜の有無によるルーピングへの影響などを自分達の手と眼で観察することを通じて、論文を読むだけではわからなかったことを理解したり、新たな疑問を思いついたりと、各々が有意義な時間を過ごしました。(文責 高瀬悠太)