元物理学・宇宙物理学専攻(物理学第一分野)所属・名誉教授 寺嶋孝仁

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 昭和52年、あこがれの地であった京都で学生生活を始め、47年にわたり京都大学でお世話になりました。京大生として初めて京都に来た日に哲学の道に桜を見に行きました。定年後、同じ場所で見る景色はまったく変わっておらず、その間に流れた月日は夢のような気がします。
 この間、化学教室の学部生から始まり、化学研究所での大学院生、教員、低温物質科学研究センター、物理学第一教室といろいろな立場から理学研究科と関わる機会を得ました。それぞれ、独自の文化があり、京大の多様な魅力を知ることができたのは貴重な経験になりました。
 京都は海外の人気都市ランキングでも上位に入る魅力ある場所ですが、研究活動を行うにも常に気持ちをリフレッシュさせてくれる理想的な環境だと思います。
 特に教員生活最後の16年間を過ごした総合研究5号館の居室からは吉田山の四季の移り変わりを目の当たりにすることができ、京都で研究活動をすることの喜びを日々感じることができました。
 最終講義のために47年間の出来事をまとめていると、自分がいかに多くの方々に支えられて研究活動を続けてこられたのかを改めて実感します。
 現在は科学技術振興機構の研究員として、物理学教室で研究できる機会を与えていただき、現役のスタッフ、学生さんにとって少しでもお役に立てればと日々過ごしております。
 今、緑がだんだん濃くなっていくキャンパスの中を歩いていると、つくづく、自分は京大が好きだったのだと感じています。