企画名
VRで見る・3Dで触る先端科学 |
参加教員
教員名 | 職名 | 所属 |
---|---|---|
稲生 啓行 | 講師 | 数学・数理解析専攻 |
坂上 貴之 | 教授 | 数学・数理解析専攻 |
佐々木 洋平 | 助教 | 数学・数理解析専攻 |
松本 剛 | 助教 | 物理学・宇宙物理学専攻 |
市川 正敏 | 講師 | 物理学・宇宙物理学専攻 |
技術協力
職員名 | 職名 | 所属 |
---|---|---|
阿部 邦美 | 技術専門員 | 化学専攻 |
山本 隆司 | 技術専門職員 | 生物科学専攻 |
関連専攻
専攻名 | |
---|---|
数学・数理解析 | ● |
物理学・宇宙物理学 | ● |
地球惑星科学 | ● |
化学 | ● |
生物科学 | ○ |
○:学生・教員から希望があれば参加可能な分野(専攻)
実施期間(開講曜日・時間等)
年度・期 | 開講曜日 | 時間 | 場所 |
---|---|---|---|
平成29年度・通年集中 | 未定 | 未定 | 未定 |
企画要旨・目的
2016年は「VR元年」と呼ばれ、様々な装置の登場により、今までにない現実感・没入感をもって仮想現実の世界を楽しむことができるようになった。もちろん数理科学・自然科学においても、様々な分野に現れる3次元的な対象を観察して理解することは重要であり、紙やディスプレイなどで2次元に投影したものを見るだけでは十分に理解できないことも多い。そのような複雑な対象を、没入型VR装置を用いてその中に入りこんで観察したり、3Dプリンタで実際に出力して触ってみたりして、対象をより身近に体感し、新しい構造や現象を発見したり、より深く理解する為の手法を学ぶ。 具体的には、まずガイダンスとして、用意したいくつかのサンプルを実際に没入型VR装置で体験し、2変数関数のグラフやトーラス、クラインの壺のような簡単なものを作って観察してもらう。それからしばらく期間をおいて、流体力学、分子構造やフラクタル、球面の裏返し、その他何でもいいので、3次元(以上)の観察したい対象を参加者自身に考えてもらう。そこで考えてもらった物体・アニメーションなどを、みんなで集まって相談しながら実際に計算・整理して出力し、没入型VR装置を用いて実際に観察する。標準的な方法だけでは観察が難しいものについては、より現象を理解しやすい形で表現し可視化する方法について探求する。 3Dプリンタで出力できるような対象は実際に出力し、手にとって観察することもできる。 |
ホームページ
https://macs-vr.github.io/ |
問い合わせ先
稲生啓行 inou*math.kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてください)
スタディグループへの登録は締め切りました。
関心のある方は macs *sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)までご連絡ください。
活動報告
ヘッドマウントディスプレイにポジショントラッキングの技術を組み合わせて没入型VRを実現する装置が、近年一般向けに比較的安価で販売されるようになった。これにより現在VR技術は大いに注目されている。いわゆるゲームエンジンと呼ばれるソフトウェアを利用することで、これらの装置に対応したアプリケーションを開発することも難しくない。
8月に行ったガイダンスでは、参加学生に実際にこれらの装置を体験してもらい、また3Dモデルのフォーマットや簡単な作成方法、ゲームエンジンを用いたVR装置の利用方法などについて解説した。その後9月下旬に1週間かけて、参加者個々人の専攻・専門分野において興味ある対象を可視化するためのアプリケーションの開発などを行ってもらった。
実際にできあがった作品は、分子構造を手にとって観察したり、流体や常微分方程式の軌道を中に入って見てみたり、ボクセル(3次元画像)データをVR表示したりと、基本的かつ応用の多いものばかりであり、非常に理学部・理学研究科らしい結果になった。1週間という短い期間で、慣れない開発環境を自分の力で使いこなして成果を挙げてくれた学生が多くいたことには非常に感心させられた。
残念ながら未完成に終わった学生もいたが、色々試行錯誤したり、他の人の作品を見たりしていく中で、基本的な手法は理解してもらえたのではないかと思う。 できあがった作品については、順次 https://macs-vr.github.io/ にて公開していくので、そちらを参照されたい。
来年度も(できればそれ以降も)このSGは継続する予定なので、今年の成果を踏まえて更に面白い作品が現れることを楽しみにしている。VRだけでなく、3次元モデルを作成して3Dプリンタで出力する、ということもテーマに掲げていたが、実際には参加学生は皆VRでの可視化をメインに取り組んでいたため、残念ながらほとんど利用されなかった。こちらも作品を気軽に手に取って見られるという意味では大きなメリットがあると思うので、来年度以降取り組んでくれる学生が来ることを期待したい。
参加メンバー
氏名 | 所属 | 職名・学年 |
---|---|---|
稲生 啓行(代表教員) | 数学・数理解析専攻 | 講師 |
坂上 貴之 | 数学・数理解析専攻 | 教授 |
佐々木 洋平 | 数学・数理解析専攻 | 助教 |
松本 剛 | 物理学・宇宙物理学専攻 | 助教 |
市川 正敏 | 物理学・宇宙物理学専攻 | 講師 |
石塚 裕大 | 数学・数理解析専攻 | MACS特定助教 |
阿部 邦美 | 化学専攻 | 技術専門員 |
山本 隆司 | 生物科学専攻 | 技術専門職員 |
西上 幸範 | 物理学・宇宙物理学専攻 | 学振PD |
大村 拓也 | 物理学・宇宙物理学専攻 | D3 |
幕田 将宏 | 物理学・宇宙物理学専攻 | D2 |
小林 沙織 | 物理学・宇宙物理学専攻 | M2 |
日高 拓也 | 化学専攻 | M1 |
外村 一朗 | 数理科学系 | B4 |
バーチャルリアリティ体験・ガイダンス(2017年8月1日)
スタディーグループ3「VRで見る・3Dで触る先端科学」では、ガイダンスを行い、実際にVR機器を体験してもらい、それらを利用して様々な対象を可視化する為の基礎について解説しました。
まず、現在のバーチャルリアリティ (VR) の主流である、ヘッドマウントディスプレイ (HMD) 型のVR機器を実際に装着してもらい、VRの世界を体験してもらいました。HMD自身に搭載されたジャイロスコープや加速度計だけでなく、外部に設置したセンサーやベースステーションを用いて赤外線でHMDやコントローラの位置や向きを測定するので、実際にVRの世界に没入して見回したり、動きまわったり、ものを掴んで動かしたりすることなどができます。当日はHMD標準のチュートリアルなどで基本的な操作方法を学び、SG3の代表教員・稲生啓行講師が作成した4次元のフラクタル集合 (複素2次元の力学系のジュリア集合) を観察するソフトや他のアプリなども使って、実際にバーチャルの世界に入るとはどのような感じで、その中でどのように動いたりコントローラで操作したりできるのかを実際に体験してもらいました。空中に絵を描いたり、世界中を飛び回ったりと色々なものを試してみることで、これから自分で何か作る上でのヒントが得られたのではないかと思います。
ひと通り参加者に体験してもらったあとで、講義形式でガイダンスを行いました。9月の最終週にまた集まって実際に色々作成してもらう予定になっているので、その準備として、以下について解説し、一部については実際に各自のPCでもやってもらいました。
- よく使われている簡単な3Dモデルのファイル形式 (STLファイル、OBJファイルなど) の概説。
- VRで観察したい対象をこのような形式のデータとして出力することで、色々なソフトウェアで扱うことができます。
- 数式処理ソフトや3D分子シミュレーションソフトなどを用いて、簡単な3Dモデルの作成。
- 2変数関数のグラフや球面のような式で書けるものや、蛋白質構造データバンクなどで公開されている分子構造のデータなどは簡単に3Dモデルにすることができます。
- Unity を用いて、これらのVR機器を利用したソフトを作る為の基礎。
- Unity は様々なVR機器に対応した、統合開発環境を内蔵したゲームエンジンです。これを使うことで簡単にVR機器に対応したソフトウェア (もちろんゲームに限りません) を作ることができます。各VR機器を使う為の最初の設定や、Asset Storeから必要なライブラリをインポートして利用することで様々な機能を実装する方法などを学びました。
参加者の皆さんには、今回の体験や知識を踏まえた上で何をどのようにVR機器で可視化するか、この夏休みの間に考えてもらうことになっています。色々な3Dモデルを作ることはもちろん、それをアニメーションさせたり、コントローラを用いて自由に操作したり、他にもたくさんの可能性があると思っています。どのようなアイディアが出てくるか、とても楽しみです。(文責 稲生啓行)