玉城教授記念公開学術講演会について
玉城嘉十郎先生は京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さで他界されましたが、ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄付を頂き、先生を記念して毎年公開の学術講演会を開くことにいたしました。第1回は1969年秋、回を重ねること今回で63回に達しました。テーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生諸君の参加も多く、またもとより公開でありますので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しております。
日時
2025年12月19日(金)14:00 ~16:30
場所
京都大学吉田キャンパス
北部総合教育研究棟 益川ホール(北部構内マップ [13] )
※ オンライン配信はありません。現地開催のみですのでご注意ください。
対象
学部生・大学院生・教員・一般
聴講は無料
講演テーマ
生物の普遍性と多様性
プログラム
| 14:00-14:10 | 開会挨拶 |
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14:10-15:10 |
タンパク質の品質を管理する細胞応答 生き物の基本単位は細胞ですが、細胞の中はどうなっているでしょうか。私達の体内には、いろんな臓器が入っていて役割を分担しています。同じように、細胞の中にも小さ な臓器(細胞内小器官)がたくさん入っていて役割分担しています。私が研究している小胞体は、その一つで、タンパク質の製造工場という役割を果たしています。タンパク質が作られた時は、20 種類のアミノ酸が数珠つながりで 並んだ紐(ひも)ですが、小胞体はこの紐を、それぞれのタンパク質が最も働きやすい形に作り上げ、良い形になったタンパク質のみを活用します。すなわち、タンパク質の品質が管理されています。この工場はかなり優秀で、よく働くのですが、それでも時にうまく機能しなくなり、不良品がいつも以上にできてしまうことがあります。このとき、この悪くなった状況を元に戻そうとする復元力が細胞に備わっているのです。この仕組み(細胞応答=小胞体ストレス応答)を解説します。 |
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15:20-16:20 |
時を感じる虫たちの世界を探る 昆虫には「時を感じる力」がある。記載されているだけで 百万種を超える昆虫は、地球上のさまざまな環境に進出してきた。これらの環境の多くは周期的に変動しており、昆 虫はそうした変動に対応するために、独自の時計を進化させてきた。この時計によって昆虫は昼夜の変化だけでなく、 季節の移り変わりや潮の満ち引きといった周期的な変化にも対応し、生き延びて子孫を残してきた。わたしはこれまで、日周リズムを司る概日時計、季節変化に応じた光周時計や 概年時計、さらには潮汐周期に対応する概潮汐時計など、昆虫のもつ多様な時計を研究してきた。本講演では、これらの昆虫時計の驚くほど精巧なしくみを紹介し、それらに共通する原理を探ってきた経緯を概説する。さらに、砂時計のように一過性でありながら世代を超えて動き続ける不思議な時計、アブラムシの「季節タイマー」の謎にも触れながら、多様な生物を研究する驚きと喜びを伝えたい。 |
| 16:20-16:30 | 閉会挨拶 |
問い合わせ先
京都大学理学研究科 SACRA 広報・社会連携部門
FAX:075-753-9410
E-mail:050cr*mail2.adm.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
URL:https://sci.kyoto-u.ac.jp/ja/divisions/sacra
主催
京都大学理学部、公益財団法人湯川記念財団

