理学研究科長・理学部長 佐々真一
1914年に京都帝国大学の分科大学として開校した理科大学が、現在の京都大学理学部の前身です。開校から111年が経ち、2025年3月までに56名の方が学部長を務めてこられました。その中で、同じ苗字の方が2組いらっしゃいます。「加藤」と「丸山」です。そして、このたび私が学部長に就任したことにより、「佐々」もその仲間入りをすることになりました。先代の佐々学部長は、1957年4月から2年間学部長を務められた佐々憲三先生です。佐々式大震計の開発で知られる地球物理学者でいらっしゃり、私が研究を始めた頃、地震と物理の境界領域に関する研究会で、先生とのご関係(血縁など)について何度か尋ねられたことがあります。そのため、お名前は以前から存じ上げておりましたが、血縁関係は全くございません。私は徳島県の山間部出身で、両親は共に高等学校へは進学しておらず、近所に大学へ進学する人もいなかったため、いわゆるアカデミックな世界とは無縁の環境で育ちました。大学と関わって43年が経ち、すっかり大学の世界に浸っておりますが、大学のエリート主義的な側面が強調されるご意見に、時に本能的な違和感を覚えるのは、このような背景があるからかもしれません。
さて、学部長・研究科長に就任して2ヶ月が経過いたしました。予想していた以上の仕事量ではあるものの、周囲の皆様の温かいサポートのおかげで、何とか日々の業務をこなしております。着任にあたり多くの方からお声がけを頂戴しましたが、特に印象深かったのは、他研究科で研究科長を経験された先輩からの「私は4ヶ月目で体調を崩しました。くれぐれも無理をなさらないように」というお言葉でした。環境の変化への適応は、いつの時代も難しいものです。私自身、助教授(現在の准教授にあたります)になった時が最も苦労いたしました。研究、教育、組織運営の三つを両立させることがなかなか上手くいかず、体調も不安定な時期が続きました。全体のバランスを何とか保てるようになるまでに数年以上を要しました。今回、再び環境が大きく変化いたしましたが、短期的な業務集中にとらわれることなく、2年間という任期を常に意識し、研究・教育・組織運営のバランスを大切にしていきたいと考えております。
以上、個人的なことばかり書き連ねてしまいましたが、理学部・理学研究科の発展についても真摯に考え続けております。この2ヶ月間で、様々な課題を把握することができました。その中で、すぐに解決できそうなことについては速やかに対応してまいります。しかし、一般的に、課題が明らかになったとしても、それらを解決するのは容易ではございません。構成員の皆様のご協力を賜りながら、教育・研究環境が一層改善されるよう努めてまいります。今後、様々な会議等で皆様にご相談申し上げる機会も増えるかと存じますが、ご理解とご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
令和7年6月2日

