Resonant nanophotonics with dielectric nanoparticles
日時
2019年11月13日(水)13:30~15:00
場所
理学部5号館401号室
アクセス
http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/map.html
講師
Dr. Andrey Miroshinichenko
School of Engineering and IT, University of New South Wales, Australia
要旨
Nanoscale optics is usually associated with plasmonic structures made of metals such as gold or silver. However, plasmonics suffers from high losses of metals, heating, and incompatibility with CMOS fabrication processes. Recent developments in the nanoscale optical physics has lead to a new branch of nanophotonics aiming at the manipulation of optically-induce報告Mie resonances in dielectric and semiconductor nanoparticles with high refractive index. Such particles offer unique opportunities for reduced dissipative losses and large resonant enhancement of both electric and magnetic near-fields. Semiconductor nanostructures also offer longer excited-carrier lifetimes and can be electrically doped and gated to realize subwavelength active devices. These recent developments revolve closely around the nature of the optical resonances of the structures and how they can be manipulated in individual entities as well as complex particle arrangements such as metasurfaces. Resonant high-index dielectric nanostructures form new building blocks to realize unique functionalities and novel photonic devices.
開催報告
本セミナーではUniversity of New South Wales at the Australian Defence Force Academy のAndrey Miroshnichenko博士をお招きし、「Resonant nanophotonics with dielectric nanoparticles」というタイトルのもとご講演いただきました。セミナーはSG8の物理系の学生の他、物理第一教室の光物性研究室の学生など、院生中心の聴講者でした。ちなみに大学はオーストラリアの首都キャンベラの国防軍基地の敷地内にあるものの、大学機能は一般人が普通に立ち入る区画にあるため学生にとっては普通の大学と変わらない感じだそうです。基地としての立ち入り禁止区画はごく一部で、その中の人たちもカフェでの食事や講義の際は大学側に来るそうです。
セミナーの方はまず、光と物質の相互作用に関して学部レベルの基本的な内容から入り、ナノ粒子によるプラズモン共鳴など非線形光学現象の紹介へと移りました。ミロシニチェンコ氏はPhDを応用数学で修め、その後、非線形光学、ナノフォトニクスへと分野を変えて精力的な研究を行っています。その様な経緯をざっとなぞる様なイントロダクションでした。現在の研究コンセプトは、電波に八木アンテナが有るなら光はどんなアンテナか、ナノ構造がアンテナだ、というものです。次に、シリコン基板に対してレーザーアブレーションを行った際に周囲に飛び散ったシリコン液滴の研究へと内容が移ります。シリコン液滴の内部結晶状態を聞くのを忘れてしまいましたが、氏らはこのシリコンナノ粒子のプラズモン共鳴に着目しました。共鳴スペクトルの異方性やその他のキャラクタリゼーションから、このナノ粒子が主にその磁気的な相互作用によってプラズモン共鳴に関わる特異な現象を起こしている事が分かったという事です。この発見から、シリコン基板をエッチングなどで加工し、特に磁気的相互作用を利用した非線形光学現象を起こすことで、物質などとの相互作用から新しい現象を見出したり、応用を探ったりという方向性に舵を切ったそうです。紹介された研究から2つほど挙げてみますと。ナノ構造中に液晶を充填する事で液晶配向に応じてシリコン構造間の光学的距離を調整できるようにした研究。トロイド形状シリコンとコアの組み合わせで、赤外光入力に対して3次高調波を発生させるデバイス。などが印象に残りました。3次高調波発生では赤外光入力に対して可視光が発生するので暗視ゴーグルなどに応用できるかも、という事でその大学っぽさを感じました。
セミナー後には、光物性研究室の有川先生のご厚意で光物性研のラボ見学を実施しました。私も実験室の方を解説付きで見せていただくのは初めてです。続けて我々の実験室の見学をSG8の学生が引率し、その後はSG8のセミナー参加学生とのディスカッションを行い、それぞれアドバイスをいただきました。
(SG8 市川正敏)