概日リズムの数理
日時
2017年7月31日(月)16:30〜18:00
場所
理学部6号館201号室
講師
伊藤 浩史博士(九州大学芸術工学研究院 助教)
概要
生命現象のうち約24時間周期で繰り返されるものは概日リズムと呼ばれている。概日リズムの研究はダーウィンも行っていたくらい長い歴史を持つが、その過程で数理、特に非線形動力学の知見をしばしば借りながら成長してきた。例えば、生物は一定の環境下では24時間から少しずれた概日リズムの周期を持っている。ところが24時間周期で日光を浴びることによって、概日リズムの周期が24時間に修正されるという現象がある。これは自律振動子の同期現象によるものだという指摘が前世紀になされ、実際にサポートするたくさんの実験が行われて、現在は実験家もこれが正しい理解であると信じている。
この講演では、このような概日リズムにまつわる数理的なアイデアのうち、実験的に検証されたものを紹介したい。また発表者が最近報告した「概日リズムの共鳴現象」についても紹介する。
伊藤博士は生物リズムの研究を実験的、理論的に進めている気鋭の若手研究者です。シアノバクテリアの概日振動システムを対象に、分岐現象や外力への共鳴現象などの理論背景について成果を上げており、最近もPNAS誌に研究成果が発表されました。是非ご参加ください。