瀧口 あさひ

 

DNAからタンパク質になるまでに、RNAに塩基配列が転写され、3つの塩基からアミノ酸に翻訳され、それらがつながってタンパク質になる、という過程を経るのは多くの方が知っていると思います。では、この出来立てのタンパク質はそのまますぐに、私たちが生きるのに必要な様々な働きをするのでしょうか。

 

実はタンパク質が体内で機能するには、さらに何段階かのプロセスが行われます。私の研究ではそれらのプロセスの中でも特に、タンパク質の中に小分子を組み込む過程について研究しています。この小分子はタンパク質が機能する中心的役割を担っています。ですが、小分子は自分だけではタンパク質に入り込めず、「補助タンパク質」という別のタンパク質の助けで埋め込まれます 。

 

研究対象のヒドロゲナーゼというタンパク質にも小分子が組み込まれており、補助タンパク質の特定もされていますが、補助タンパク質のどこでどのように組み込むのかが未解明です。そこでヒドロゲナーゼと補助タンパク質を混ぜて、両者がどのように組み合わさって小分子を組み込むのかX線回折法で見ようとしています。 ただ、ヒドロゲナーゼと補助タンパク質を一緒に混ぜても、複合体にならずにバラバラに存在しがちなのが問題です。そこで、両者を同じDNAから同時にタンパク質にすることで複合体を得ようとしています。