竹村 毬乃
2006 年1 月に打ち上げられたNASA の宇宙探査機ニュー・ホライズンズが今年7 月、9 年間の長旅を経て史上初めて冥王星に到達した。ハート型の模様が撮影され大きな話題となったのを覚えている方も多いだろう。今回はその探査の意義を考えたい。
太陽系の天体は太陽からの距離によっていくつかの種類に分けられる。太陽に近い側から、水星・金星・地球・火星を含む岩石型惑星領域、木星・土星・天王星・海王星を含むガス状惑星領域、それより遠くで多数の小さな天体が集まっているカイパーベルトの3 領域だ。この内カイパーベルトの星へ探査機が到達したことは未だかつてなく、太陽系の全体像について理解を深めるために接近してデータを集めることが望まれていた。
そこで持ち上がったのが、冥王星探査の計画だ。冥王星はカイパーベルトに存在し、2006 年、定義の変更により惑星から準惑星に降格した天体だ。探査計画はアメリカが国をあげて最重要研究と定めるほどに、大きく期待されていた。
カイパーベルトに注目が集まるのは、カイパーベルトに分布する小さな星が、惑星になりきれず途中で成長を止めてしまったものだと考えられているからだ。すでに大きな惑星となっている天体の若い頃の様子を調べるのは容易ではないが、冥王星の調査で地形や気候、元素組成などの情報が得られると、惑星ができるときに何が起こっているのかが分かるかもしれない。探査機が接近して以降、地球に多くのデータが送られNASA で解析が進められている。今後の発表も目が離せない。