界面を考えるー物質・エネルギー変換の学理ー
玉城教授記念学術講演会について
玉城嘉十郎先生は京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さでご他界されましたが、ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄付を頂き、先生を記念して毎年公開の学術講演会を開くことにいたしました。第1回は1969年秋、以後50年、回を重ねること今回で58回に達しました。テーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生諸君の参加も多く、またもとより公開でありますので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しております。
日時
2019年12月9日(月)15:00~17:30
場所
京都大学 益川ホール・北部総合教育研究棟1階
市バス「京大農学部前」「北白川」下車 北部構内
⇒アクセスマップ(建物配置図:13番)
講演プログラム
15:00-15:20 | 開会挨拶 |
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15:20-16:20 |
「単一分子におけるエネルギー移動・変換・散逸の実空間計測と制御」 固体表面上に吸着した分子における量子状態の励起とそれに伴うエネルギーの変換・移動・散逸過程は、反応・拡散・脱離などの表面ダイナミクスや発光・光電変換・光触媒反応などのエネルギー変換プロセスを理解すための重要な素過程です。走査トンネル顕微鏡(STM時 Scanning Tunneling Microscope)は、原子レベルの空間分解能で表面を観察できる優れたプローブであるとともに、探針からのトンネル電子によって個々の分子の量子状態を励起することができる局所励起源でもあります。我々は、プローブと局所励起源というSTMの二つの側面をフルに活用し、孤立吸着分子系における量子状態の選択的励起による表面素過程の制御と新しい分光手法の開発を行ってきた。本講演では、単一分子におけるエネルギー移動・変換・散逸経路および機構の解明に関する最近の研究結果を紹介します。 |
16:25-17:25 |
「エネルギー物質科学と界面イオニクス・エレクトロニクス」 2つの相が接触する界面(固液界面、固固界面、固気界面=表面など)では、イオン・電子移動により各相固有のイオン・電子状態とは異なる状態が現れ、それがエネルギー貯蔵・変換に関して重要な役割を果たします。実際、電池や触媒のほとんどがこの界面の特徴を利用しています。半導体物理や電気化学分野において界面理論はすでに確立しているように見えますが、界面におけるイオンと電子の相関したダイナミクスを真に理解するには、既存分野を融合した新しいフレームワークが必要となります。この目標に向けて、私は密度汎関数理論を基にした電子・イオン・分子・凝縮体の第一原理“サンプリング”計算を用いて、界面におけるイオン・電子の平衡・定常状態の解明を進めてきました。本講演では、界面イオニクス・エレクトロニクスについて俯瞰したのち、蓄電池・触媒などのエネルギー物質科学に関する我々の理論計算研究の成果について紹介します。 |
17:25-17:30 | 閉会 |
対象
学部生・大学院生・教員・一般
聴講は無料、お申し込みは不要です。
問い合わせ先
京都大学理学研究科 SACRA 広報・社会連携部門
TEL:075-762-1345
FAX:075-762-1346
E-mail:mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
URL:http://cr.sci.kyoto-u.ac.jp
主催
京都大学理学部、財団法人湯川記念財団