名誉教授随想『近況と雑感 -在宅勤務者として-』

名誉教授随想『近況と雑感 -在宅勤務者として-』

元地球惑星科学専攻(地球物理学分野) 所属・名誉教授 福田洋一

 
 

 2020年3月末日で定年を迎え、無事退職することができた。今般、世の中はCOVID-19で大変な状況で、京大でも学事や講義など諸々の対応に大変苦慮されていることを思うと、申し訳ないが、「無事」という言葉を実感している。

 4月からは、立川市にある国立極地研究所に非常勤の特任教授として勤務しており、職場からそう遠くないアパートに単身赴任している。とは言え、着任時に辞令や身分証などを受け取ったが、その後はずっと在宅勤務である。4月以降、当初の予定は極地研での勤務のほかに会議や出張などでほとんど埋まっており、退職前とあまり変わらない状態だったのだが、それらが全て中止または延期となり、まさにStay Homeを実践している。まあ、これが本来の退職生活かもしれない。

 もともと週2日の出勤予定で、いずれ在宅時間が長くなると予想し、部屋はそれなりの算段をしていた。それで在宅勤務そのものはなかなか快適である。高速なインターネットのおかげでコミュニケーションに支障はない。電子ジャーナルの利用には京大名誉教授のIDを使用させてもらっており、大いに感謝している。東京都と言っても周りには畑が広がり、息抜きの散歩にもってこいである。何十年ぶりかの単身赴任で、日常生活に少しは戸惑いもあるが、外出制限のおかげで時間はたっぷりあり、YouTubeを手本に料理をしたり、いろいろな発見を楽しんでいる。

 不便といえば不便かもしれないが、与えられた条件の中でできることを考え、なんとか対処していくというのは、これまでの研究生活そのものだったかもしれない。制限された不便さを乗り越えて何か新しいものが見つかったときに大きな喜びがあり、これまでやってこられたのはそれが楽しみだったからのようにも思える。この時期を乗り越えたとき、どのような新しい社会になっているのか、それを見るのも楽しみである。