尾高悠志准教授の2018年度「日本数学会幾何学賞」の受賞が発表されました

尾高悠志准教授の2018年度「日本数学会幾何学賞」の受賞が発表されました

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2018/10/17更新

本研究科数学・数理解析専攻 尾高悠志 准教授が、2018年度 日本数学会幾何学賞を受賞することが発表されました。(授賞式は3月18日)

 

受賞者
尾高 悠志(数学・数理解析専攻 准教授)

 

業績題目
「K-安定性とモデュライ理論の研究」
(英訳:Study on K-stability and moduli theory)

 

当該研究内容

私は院生時の研究の中で,代数幾何学を専門とし,およそ多項式で定まるような空間(代数多様体)のモジュライ空間に関わる問題をテーマに選びました。モジュライ空間はいわば,そうした空間(代数多様体)がどのくらいあるのかを一目で表すような,難解でありつつ夢のある空間です。話一旦微分幾何学の方に転じまして,K安定性というのは微分幾何学者の方々の,「標準的な計量(いわば``与えられた空間の適切な曲げ方")」の探索の中で生まれた概念です。日本の二木昭人先生や満渕俊樹先生の先駆的な研究に基づいて,ティアン,ドナルドソンといった先生方が形作られました。

 

研究はまず指導教官であった森重文先生らの発展された極小モデル理論・森理論の諸概念とK安定性の関連をみつけたことが一つの突破口になりました。この関連そのものの研究も予期せぬ部分も多く,楽しいものでした。同時にモジュライ空間の構成のための古典的な理論(主にマンフォード, 1960年頃)を,微分幾何的な背景から来たこのK安定性の理論で置き換えて,「K安定性を満たす代数多様体のモジュライ空間」(K-モジュライ)があるのではないかと模索し始めました。この融合と発展は未だ道のり遠く思われますが,これは微分幾何的にも由緒正しい説明がつき,たとえば藤木明先生等の仕事の延長・継承にもなっています。また、ドナルドソン氏等の元に渡英して海外の様々な仲間と知り合い議論等できたこともあり,ファノ多様体と呼ばれる球面のような「わりと丸く曲がったような」空間の場合には,その場合の微分幾何学における進展を用いる形である程度の基礎付けと発展に寄与できたように思います。その後もより多くの若い方が参入・ご活躍されておられますが,まだまだ問題・面白いことは多く残っているはずです。他分野との関連も多く深くあります。

  

コメント

このような賞をいただき,励みになります。これらの仕事は全て多くの関連分野の人たちとの議論の中でなされていますので,全員は書ききれませんが,この機会に共著者の皆様をはじめとする皆々様に感謝の意を示したいと思います。特にここ最近は大島芳樹氏(大阪大学)との共同研究の成果もあって,少しK-モジュライと別のアプローチ(「周期」の理論や局所対称空間による)でまだモジュライ空間に関わっていて,このまた新しいアイデアを押し進めていて,まだ模索中ですが今後が楽しみです。好きな研究を一層推し進めてたくさん面白いことを見つけ,証明し,また同僚や数学を志すみなさんと一緒に数学・学問的雰囲気を楽しめたらよいなあと望んでいます。

  

詳細については、2018年度日本数学会幾何学賞 - 日本数学会 のページをご覧ください。