廣田 誠子

 

宿題で調べ物をしたい時、友達と遊びに行く場所を探したい時、昔は図書館や本屋で情報を探すのが主流でしたが、 今ではスマホやパソコンからインターネットを通じてお手軽に探せるようになりました。このお手軽さを生み出したのが、ワールドワイドウェブ(WWW)。WWW は「リンクを貼る」システムで、コンピュータの画面に現れた文字をクリックするだけで情報にアクセスできるようにするものです。WWW 以前、インターネットを使えるのはコンピュータに詳しい人たちだけでしたが、WWW の出現で誰もが簡単に使えるようになりました。人々が、ホームページやブログなどで世界中の人に向けて情報を発信していけるようになったのも、このWWW のおかげです。

 

WWW は1989 年、欧州原子核研究機構(CERN)で誕生しました。生みの親は、コンピューターシステムを作ったり整備したりするために雇われたティム・バーナーズ=リー氏。CERN は、最近「神の粒子」を発見したことで話題になった研究所で、WWW はもともと、宇宙や物質の起源を探る研究を円滑に進めていくため、CERN に関わる数千人の物理学者達がお互いの持っている情報を簡単に交換できるように開発されました。

 

誕生当初、WWW はCERN 内や、関連する大学や研究機関の間で使用されていましたが、1993 年に広く一般に無料で提供され、世界は一気に情報社会へと変貌します。今やインターネットで人とつながり、買い物をし、知識を取り入れています。私たちの生活は、宇宙や物質の起源を探るという一見、生活とは関係ない研究から生まれたWWW の上に成り立っているのです。