運動パターンを制御する神経回路機構

日時

2020年1月24日(金)16:00〜

 

場所

京都大学理学部1号館106号室(BP1)
アクセス 建物配置図(北部構内)【2】の建物

 

講師

能瀬聡直 教授(東京大学 新領域創成科学研究科)

 

概要

動物のあらゆる行動は多数の筋肉を秩序正しく収縮させることで実現されます。私たちは、ショウジョウバエ幼虫のぜん動運動をモデルとして、この背景にある神経回路の仕組みを探っています。このため、運動中に特定のタイミングで活動し、したがって運動の制御に関わるようなニューロンを探索し、その役割を解析しています。また、コネクトミクス解析とよばれる電子顕微鏡画像の3次元再構築によりニューロン間の結合様式を明らかにする手法を用いて、これらニューロンがどのような回路構造を介して運動を制御しているのかを探っています。本セミナーでは、体節間の協調した活動伝播を実現する神経回路の構造と機能に関する最近の知見について紹介します。

(使用言語:日本語)

 

対象

学部生・大学院生・教員・一般 聴講は無料、お申し込みは不要です。

 

主催

理学研究科 生物科学専攻 生物多様性コロキウム

 

共催

MACS特別セミナー

 

参考URL

http://www.biol.sci.kyoto-u.ac.jp/jpn/seminar/2019/12/20200124.html

 

開催報告

 MACS-SG3では、東京大学・新領域創成科学研究科の能瀬聡直博士に「運動パターンを制御する神経回路機構」というタイトルで講演していただきました。講演ではまず、ロボットの動きが実際の動物の動きに比べてぎこちないことを例に、運動パターンを生み出す神経回路を理解することの重要性を説明されました。そして、ハエ幼虫のぜん動運動(後ろ側から順番に筋肉を収縮させることで前に進む)をモデルとして、脳内のどういった神経回路が順序だった筋肉の収縮を制御するのかについて、神経細胞のカルシウムイメージングやコネクトーム解析、光遺伝学による特定の神経の活性化などを組み合わせ、運動神経と介在神経からなる神経回路の存在について話されました。講演の後半では、上記の神経回路が発生過程においてどのように形成・確立されるのか、特にランダムな筋肉の動きが協調された筋肉の動きへと変化していく過程に注目した研究内容を紹介されました。質疑応答では、様々な運動に対する神経回路の共通性などについて熱心な議論が繰り広げられました。
(文責:高瀬悠太)