ゲーム人工知能の現状~コンピューター将棋と囲碁の躍進~

日時

2019年2月8日(金)10:30〜

 

場所

京都大学理学部6号館201号室
アクセス 建物配置図(北部構内)【4】の建物

 

講師

保木邦仁(電気通信大学・准教授)

 

要旨

コンピュータに知能を実現させることは、計算機科学の大きな目標の一つです。しかし、知能には様々な側面があるということを考えると、人工知能研究が目指すものも、しばしば曖昧なものとなります。このような背景の中で、成功や勝ちなどの明確な目標を与えるパズルやボードゲームなどの思考能力を競うゲームが注目されてきました。1997年にはIBMディープブルーがチェスの世界チャンピオンに勝利しました。近年、コンピュータ技術の発達がより一層加速し、これにともない、人工知能の高性能化がゲーム領域において顕著にあらわれています。

 

本講演では、将棋や囲碁のようなゲーム人工知能の近年の進歩を紹介します。将棋においては、コンピュータチェスのような力ずくのヒューリスティック探索と大規模な評価関数の機械学習を行うことにより、人工知能の強さがプロ棋士のレベルに達しました。囲碁においては、モンテカルロ法と深層学習による高精度な勝率と着手の評価を行うことにより、人工知能はプロ棋士の思考力を凌駕するようになりました。2016年、グーグル・ディープマインド社のアルファ碁が囲碁の世界トップランカーに勝利、思考ゲームで勝つという観点において、現在人工知能は人間熟達者をはるかに凌ぐ性能を持ち得ます。