情報幾何学入門-幾何学者から見た情報幾何学

日時

2017年9月28日(木)13:00〜18:00
2017年9月29日(金)10:30〜12:00

 

場所

理学部3号館108講義室
アクセス 建物配置図(北部構内)【5】の建物

 

講師

松添 博 教授(名古屋工業大学)

 

概要

情報幾何学とは,広くは情報の持つ数理構造に関して幾何学を用いて表現する方法論全般を指す.本講演では確率密度関数のなす空間を多様体とよぶ曲がった空間であるとみなし,そこに自然に導入される双対アファイン接続の幾何学などの解説を行う.

 

情報幾何学ではRiemann計量やアファイン接続などの微分幾何学が重要となるため,ごく簡単にそれらの概念を復習したのちに,確率密度関数のなす空間に定まる双対アファイン接続の構造,距離2乗型の関数であるダイバージェンスの幾何学などについて解説を行う.

 

さらに統計的推論と双対アファイン接続の幾何学との関連などについて述べる.講演の後半では,情報幾何学のTsallis統計物理学への応用など最近の話題について触れる.

 

講義スライド

 

共催

時空間イメージング拠点(生命動態システム科学推進拠点事業)

  


開催報告

スタディーグループ2「イメージングと数理の融合:動きや形の定量とモデリング」では、名古屋工業大学の松添博教授をお招きし、情報幾何学のセミナーを2日間にわたって行いました。なお、セミナー内容の詳細は、下記リンクから講義スライドのファイルをご覧ください。

 

初日のセミナーでは、1.多様体の速習、2.統計モデルの幾何学、3.双対接続と双対平坦空間、4.最尤推定量の幾何学について3時間程度の説明がなされたのち(参照:170928kyoto-handout.pdf)、擬似スコア関数とプレ・コントラストについてお話がありました(参照:170928quasi-score.pdf)。途中、選挙の投票遷移確率の推定など時事ネタを踏まえたお話しがあり、情報幾何学が扱う問題の具体的な説明がなされました。2日目のセミナーでは、統計多様体の幾何学と異常統計についてお話がありました(参照:170928anomalous-handout.pdf)。べき型統計分布に対してq-正規分布を用いる話や、実例として医用画像処理の研究について紹介していただき、情報幾何学について実感の湧くセミナーとなりました。

 

セミナーへの参加者は22名で、理学研究科以外にも工学研究科やウイルス・再生医科学研究所、医学研究科などから参加者が集まりました。情報幾何学への関心の高さが表れたセミナーとなりました。(文責 平島剛志)