[SG10]コンピュータでとことん遊ぶ

活動報告スライドより、活動の例



 

スマートスピーカー開発イベントのポスター

 

報告会資料ダウンロード(1.68MB)

活動報告

活動目的・内容

カーツワイルは急速なAIの発展により2045年に技術的特異点が起きると予言した。その真偽はともかく、AIの発展は研究手段や研究そのものを大きく変えるであることは想像に難くない。その担い手となるのは、現在の学生たちである、学生たちの主体的で自由な発想こそが求められる。このSGの目的は、学生たちにその自由な発想で計算機を活用する場、人的ネットワークを提供し形成して、コンピュータの主体的で新奇な活用のための基盤を学生たちに培うことであり、またその支援にある。

具体的な支援として、このSGの教員にそれぞれのコンピューティングに関連した興味や手法をセミナーで提供していただき、学生の興味に応じた課題の解決へのアドバイスを行っていただく。また、積極的に学内外の専門家にもセミナー等を通して参加いただく。学生には、専用のPCや情報環境機構のクラウドコンピュータを利用した遊びの場(開発環境)を提供することを考えている。とりわけ,学部学生の参加を期待する。

 

活動成果・自己評価

初回のオリエンテーションを経て、各学生の興味に基づき、コンピュータや電子工作キットの選定、メンバー間の連絡方法、活動方法を話し合った。 このSGは、理学研究科1号館331号室を専用の活動部屋とし、不定期に活動する予定であったが、slackやskype等を利用して、集まることなく活動することが多かったようである。

前期は、基礎的な学習を主体にして、1.機械学習に関する輪読と共に具体的なプログラミングの課題と取り組む、2.マイコンを用いた電子工作と機械学習の適用の二つのテーマで学生主体のグループワークを行った。

後期は、基礎的なグループワークを続けながら、専門家を招いて、次の3つのワークショップを開き、より専門性の高いスキルに触れると共に応用や実用的な利用法の検討を行った。他学部や他大学の学生も参加することで当初の目的である学生の連携もある程度実現できた。

 
  1. スマートスピーカーワーク(2/8,2/15,3/1講師:㈱アイエンターの新さんと高馬さん、LINE㈱小城さん)
  2. 電子工作(2/22,3/15,3/22 講師:㈱eftax小林さん)
  3. Pythonによるデータビジュアライゼーション(3/12,3/13講師:antmark松波さん)
 

Orihimeロボットをレンタルし、基本的な動作原理を学ぶと共に、宇宙遊泳、能演技、障碍者等の利用を検討し、専門家や当事者と実際の活用を前提とした試行を行った。この成果の一部は、2019年2月9日に本学で開催された宇宙学シンポジュームにおいてMACSSG10として、本ロボをポスターならびに実機の展示発表を行った。

また3月には継続して本ロボをつかった看護や病院での活用、そして能装束や宇宙服の可動域の制約と操作する方の可動域の制約という共通性から、なにか制約があるゆえの新たな意味づけ(生きることの奥深さ)の探求を試みている。

 

参加メンバー

氏名 所属 職名・学年
藤 定義(代表教員) 物理学・宇宙物理学専攻 准教授
藤井 啓祐 物理学・宇宙物理学専攻 特定准教授
松本 剛 物理学・宇宙物理学専攻 助教
竹広 真一 数理解析研究所 准教授
坂上 貴之 数学・数理解析専攻 教授
更科 明 数学・数理解析専攻 D2
石川 寿雄 数学・数理解析専攻 D2
丸石 崇史 物理学・宇宙物理学専攻 M2
池田 侑平 物理学・宇宙物理学専攻 M1
吉田 純生 生物科学系 B4
親川 晃一 数理科学系 B4
多胡 徹也 生物科学系 B3
長江 文立津 生物科学系 B3
山村 周 物理科学系 B3
藤﨑 碩人 理学部 B2
向井 大智 数学・数理解析専攻 D2
藤井 航平 工学部 B2
大西 龍貴 医学研究科 D2
天羽 将也 物理科学系 B3
立元 久史 工学部 B3
 

[SG11]理学におけるデータ科学実践:機械学習で自然科学を読み解けるか

Reservoir Computing (RC) について。RC は入出力の時系列データからそれを再現する機械学習手法。左上:11月5日のSUURI-COOLでの様子。RCを実装中。右上:RCの学習方法の概要。左下:出力の推定方法の概要。右下:closed loop 時の予測方法の概要



 

TensorFlowを用いて AutoEncoder を実装。 図は MNIST 手書き文字データセットを2次元で Encode した結果。AutoEncoderはデータセットの低自由度(非線形)表現を目的とした教師なし学習手法の一つ。



 

強化学習の一つである方策勾配法を用いて、迷路を迷うことなく出口まで到達するエージェントを作成した。教師データがなくとも、ストラテジがわかっている場合のモデリングや生存戦略等の理解につながる可能性がある。

 

報告会資料ダウンロード(4.93MB)

活動報告

活動目的・内容

【活動目的】実験や観測からデータを取得してそれを解析することは、自然科学のいずれの分野においても普遍的に必要である。昨今は機械学習などのデータ科学的手法が発達し、計算機能力の向上に伴い、様々な目的でデータが潜在的に持つ情報の抽出が試みられている。理学研究科にはデータが豊富に存在しており、それらの現実に得られるデータに対する機械学習的手法の適用範囲の調査は大いに有意義である。本SGではそれに繋げるための手法の習得を行った。データ科学的手法を簡単なものから順次習得し、自在に各手法を活用可能になることが第一の目的である。既存手法との比較検討や手法の理論的考察を含め、包括的に整理することで、各手法の本質の理解につなげ、自然科学を読み解く「学習」の体得が第二の目的である。

 

【内容】本SGでは参加希望者が多かったため、前期期間は2つのグループに分けて実施した。Group Aは4回実施し、主に北部総合教育研究棟2階のSUU RI-COOLを利用、人数は各回8〜15人である。 Group Bはこれまで3回実施(1回はGroup Aと合同)し、理学研究科6号館208情報演習室を利用、人数は各回5〜6人。後期期間は1グループのみSUURI-COOLにて4回実施、人数は各回4〜7人であった。各回の演習内容としては、言語はPython、開発環境はJupyter Notebook を用いて、初心者でも導入が容易となるように配慮した。

 

活動成果・自己評価

【成果報告】参加者の簡便性を重視し、SGミーティングは代表教員が準備したサンプルプログラムをなぞる形で実施した。内容としては、機械学習手法ライブラリである scikit-learn を用いて、多層パーセプトロン(MLP)、決定木等の一通りの解析手法を習得した。また、深層学習に特化した環境を提供するTensor Flow を導入し、AutoEncoderと畳み込みニューラルネットワークの手法を習得した。時系列解析で用いられる Reservoir Computing と方策勾配法による強化学習をライブラリの利用なしで実装した。各自で取り組む問題としては、気象庁55年長期再解析を用いた相関の抽出、理学研究科附属地磁気世界資料解析センター提供の気象庁柿岡地磁気観測所のデータからのパターン抽出、決定木・MLP による回帰で必要層数の調査、画像解析手法を用いた乱れたトポロジカル超伝導体の相判定研究の再現等が挙げられる。

 

【自己評価】登録学生の所属専攻や系は数学、物理、地球物理、化学と幅広く、専門分野を問わず機械学習的手法の潜在的ニーズの実態が顕となった。学生の学年も2回生から博士課程までと多岐にわたり、どの学習・研究段階においても普遍的な興味の内容であることも窺い知れた。SGの問題点を挙げると、前提知識のあるなしが大きく作業効率に響いたことである。サンプルプログラムはSG内で共有したが、プログラミングに不慣れな参加者にとっては依然として自在に扱えるまでのハードルは高かったようだ。また、ミーティングの時間が十分取れず、作業は各自に任せていたため、学生の興味を満足に伸ばせられなかったことは残念に思っている。学生との議論や指導の在り方と教員と学生双方のSGでの時間の使い方については今後検討すべき課題である。

 

参加メンバー

氏名 所属 職名・学年
中野 直人 理学研究科 連携講師
余田 成男 地球惑星科学専攻 教授
田口 聡 地球惑星科学専攻 教授
宮崎 真一 地球惑星科学専攻 准教授
市川 正敏 物理学・宇宙物理学専攻 講師
能勢 正仁 地磁気世界資料解析センター 助教
石塚 裕大 数学・数理解析専攻 MACS特定助教
MITRA, RIMALI 地球惑星科学専攻 研究生
更科 明 数学・数理解析専攻 D2
上野 賢也 生命科学研究科 D1
吉野 将旭 数学・数理解析専攻 D1
佐々木 裕文 数学・数理解析専攻 D1
小林 沙織 物理学・宇宙物理学専攻 D1
別所 拓実 物理学・宇宙物理学専攻 M2
大井川 智一 地球惑星科学専攻 M2
原 将太 地球惑星科学専攻 M1
岡田 凌太 地球惑星科学専攻 M1
Cai Zhirong 地球惑星科学専攻 M1
高須 浩平 地球惑星科学専攻 M1
長房 勇之介 地球惑星科学専攻 M1
村上 涼 地球惑星科学専攻 M1
佐藤 健人 数理科学系 B5
小金丸 和穂 数理科学系 B4
渡邊 絵美理 生物科学系 B4
多胡 徹也 生物科学系 B3
澤崎 義仁 理学部 B2