名誉教授随想『広州にて:A rolling stone gathers no moss?』

名誉教授随想『広州にて:A rolling stone gathers no moss?』

元地球惑星科学専攻(地質学鉱物学分野)所属・名誉教授 𡈽山 明

 
 

2012年に阪大から京大に異動し、7年間理学研究科にお世話になりました。この間、お世話になった方々に改めて御礼申し上げます。退職後4月からは立命館大学で、さらに5月中旬からは中国科学院広州地球化学研究所でお世話になっています。京大への異動のとき、阪大に不満はなかったのですが、場所を変える最後のチャンスだと思いました。幸い京大に来てから大型科研費(特別推進研究)もいただき、異動の賜物でした。この7年間は短くもあり、一方でそれなりに長くも感じました。

 

今広州に滞在しています。少ししたら帰国し、SPring-8でX線ナノCTの実験予定です。JAXAの「はやぶさ2」が昨年小惑星リュウグウに到着、サンプル採取に成功しました。2020年12月に地球帰還予定で、今回を含めた一連の実験でサンプル初期分析の準備を行う予定です。"A rolling stone gathers no moss"という諺がありますが、阪大から京大、そして立命・広州へと転がっています。苔むすことはイギリスではnegativeに、アメリカではpositiveに捉えられているようですが、私には両方が当てはまるのでしょうか。

 

日本では、定年退職後無給で研究を続けられる方も多いですが、研究の場を中国に移している方も増えています。私はともかく、これは頭脳流出です。研究に限らず、高齢化社会の日本で定年制を今後も続けるのか、一度考えてみるべきだと思います。広州での滞在はまだたったの1ヶ月ですが、中原を離れた辺境の地での古代文化も目にしました。この国はいろいろ問題もありますが、西洋中心の今の世界を超えた、何か新しいものを目指しているのかもしれません。

 

ともかく健康第一、そして転がりながら"おもろいこと"がいろいろできたらと思っています。